芸能
Posted on 2014年06月11日 09:58

「トラック野郎」の奇才・鈴木則文監督が愛した女優たち(3)夏樹陽子が語る撮影秘話

2014年06月11日 09:58

20140612h

「トラック野郎」シリーズを彩った女優の一人に、夏樹陽子(61)がいる。片平なぎさがマドンナの第5作目「トラック野郎 度胸一番星」(77年)で、女渡り鳥・マヤ役を好演。まだ映画出演3本目の新人女優だったが、一気に映画ファンに注目される存在となった。

「あれは本当に印象に残っている映画で、八代亜紀さんも初めて女トラック野郎役として出た作品なんです。そんなこともあって、今でも八代さんと会うと、その時の話が出るんですよ。私が(愛人役の)千葉真一さんを介抱しているシーンで、ちょうど八代さんの『恋歌』が挿入歌として流れるんです。それがすごく印象的で。そんなわけで、作品が出来上がった時には私もすっかりトラック野郎気分でしたね。今はデコトラなんてめったに見ないですよね。たまに出会うとうれしくなって、自分が乗っている車のクラクションを鳴らして手を振っちゃう。コンニチハ、って(笑)」

 彼女にとっては、ファッションモデルから女優に転身してそれほどたっていない頃の作品だった。

「参ったのはメイクですね。とんでもなくバタ臭くって(笑)。時代の先端を行くファッションの世界では洗練されたメイクをしていたから、その違いにビックリしてしまいました。その時は、とんでもない世界に入ってしまったと思いましたね」

 もちろん、監督とはこの時が初対面。だが監督然とした風情はなく、驚くほどに気さくだったという。

「『お、一緒にやろうな』って、私の肩を触りながら気軽に声をかけてくれて。スタッフに対してもそうでした。私は会うといつも『監督、お風呂に入ったの?』って聞いてましたね。ざんばら髪で、肩にフケをためているのを手で払ってあげてたんです(笑)。身の回りのことなんか気にしない人。で、日焼けか酒焼けかわからないような赤い顔で台本と赤ペンを持って、いつもニコニコしていました。私にとっては母性本能をくすぐるステキなオジサンさんだったかな。どなられたり怒られたりしたことは一度もなかったですね。『なっちゃんね、ここはこうで、こうして、思いっ切りやって』って、優しく演技指導してくれました」

 監督という立場でありながら、女優が気安く声をかけることができる、愛すべき存在だった。

「女性を撮るのがうまい人だったと思います。監督は物事をその時の空気感で捉えて演出していくタイプ。理屈っぽい面はなかったですね。もちろん、ポイントでは思い切って当たっていきますよ。そういうアグレッシブなところもあったから、『トラック野郎』にはピッタリだったんでしょうね」

 自然かつ巧みな女優の扱いが、名作を生んだのだ。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    政治
    2026年06月24日 20:00

    中道改革連合の伊佐進一衆院議員(比例近畿ブロック)というと、青いスパンコールのジャケットや華やかな蝶ネクタイといった「派手な服装」をしていることで有名になった。最近は自民党総裁選での中傷動画疑惑をめぐり、国会で高市早苗首相を積極的に追及して...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    政治
    2026年06月26日 11:00

    超親密を保っていたアメリカのトランプ大統領とイタリアのメローニ首相が突然、激しく罵り合う。一枚の写真がきっかけだった。トランプ大統領はフランスで開催されたG7サミットでの「出来事」を、イタリアのテレビインタビューで、次のように明かしたのであ...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    芸能
    2026年06月26日 13:30

    月並みな物言いだが、あの巨人・阿部慎之助前監督逮捕のニュースは、AIと人間との関係を改めて考えさせられた。父親から暴力を受けた長女が「チャットGPT」に相談し、その回答に基づいて児童相談所に通報したところ、警察が即座に動いて現行犯逮捕に至っ...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/6/23発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク