スポーツ
Posted on 2014年12月07日 09:57

掛布雅之 全米野球で感じたNPBとMLBの差(2)

2014年12月07日 09:57

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 今回の日米野球でも侍ジャパンのメンバーは、メジャーの選手たちのパワフルなスイングを肌で感じたはずです。打率3割4分1厘でア・リーグの首位打者に輝いたホセ・アルトゥーベ(アストロズ)も、身長166センチとは思えないパワフルなスイングをしていました。日本の指導者なら彼の身長を見ただけで、バットを短く持った右打ちを徹底させるでしょう。最初から「こうあるべき」と決めつけた指導法が、選手の可能性を消してしまうのです。

 アルトゥーベのスイングメカニズムにも、メジャーで成功する秘訣が隠されています。ベースから離れて立ち、左足をホームベース寄りのライン付近まで踏み込んでいました。彼に代表されるように、メジャーの選手の打撃の特徴は投手に向かって前側の足の使い方にあります。大きく足を上げることなく、小さくタイミングを取って、早めに、ホーム側に踏み込んできます。そして軸足ではなく、踏み込んだ足で「間」を取るのです。手元で微妙に動くボールと、外に広いストライクゾーンに対応するための打撃です。軸足に体重を乗せて「間」を取ることが体に染みついている日本の選手には、すぐにはマネできないバッティングです。

 阪神の鳥谷も今オフ、海外FA権を行使してのメジャー挑戦を視野に入れていますが、険しい道になることは確かです。彼はボールを引きつけて、反対方向に流し打つのが得意な打者ですが、その打法が通用しない可能性があるのです。メジャーリーガーの重たい球に負けて、バットのヘッドが返らずにファウルになるケースが増えるはずです。また、じっくりボールを見極めていく仕掛けの遅いタイプですが、向こうのバッテリーは振ってこないとなるとどんどんストライクを投げ込んできます。長所だった四球の数も減るのではないでしょうか。

 守備に関しても、鳥谷をもってしても、ショートは難しいと見ています。あれだけ高い身体能力を誇った松井稼さえも、二塁しか守れませんでした。川崎が所属したブルージェイズの本拠地のように人工芝の球場なら遊撃でもこなせるでしょうが、天然芝への対応には苦労するはずです。打球の質自体も日本人のものより重たかったり、いろんな回転をしたりするのです。スローイング面を考慮しても、WBCでも経験した二塁がベストでしょう。となれば、なおさら打力が求められます。

 たとえメジャー契約を結んでも、レギュラーの座をつかみ、守り抜くのが簡単な世界ではありません。過去に日本を代表する内野手が何人も苦汁を舐めてきました。逆に言えば、だからこそ挑戦しがいのある舞台とも言えます。アメリカの野球を経験することにより、あらゆる面で幅が広がるはずです。鳥谷自身の将来的なことを考えれば、すごくプラスになる選択でしょう。とはいえ、阪神のことを考えれば、残留してくれることが一番です。結論が出るのは、現地時間8日に始まる米ウインターミーティングが終了してからでしょうか。その決断を見守りましょう。

阪神Vのための「後継者」育成哲学を書いた掛布DCの著書「『新・ミスタータイガース』の作り方」(徳間書店・1300円+税)が絶賛発売中。

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