政治

本性を全暴露「金正恩の愚かなる素顔」(2)家老幹部の言葉に傷ついた

──

 金正恩は、2011年12月に父・正日が急死したあと、十分な帝王学を身につけないまま20代の若さで最高指導者として君臨することになった。正日が20年をかけて最高指導者の肩書を付けたのとは対照的だ。

──

 私の手元には、金正恩が権力を継承した直後の「責任幹部に対する講演集(部外秘)」がありますが、そこには党建設の話や人民軍強化の組織論は一つもありません。ごくわずかに党に対しての話がありますが、組織論ではなく、党の担い手は言葉遣いを丁寧にしなければならないとか、官僚主義はいけないなど、当たり前の指摘がほとんどです。論理的な内容はなく、聞き手に深く考えさせ感動させるような話もまったくありません。

 当時、彼の話を聞いた現場の幹部は大いに戸惑ったといいます。北朝鮮内部からの情報によると、随行の家老的幹部たちは「首領様はまだお若いから」とフォローするのが大変だったといいます。しかし、そうしたフォロー発言は、秘密警察の国家安全保衛部(現在は国家保衛省)の要員によって必ず金正恩に伝えられ、劣等感にさいなまれている彼の自尊心を傷つけることになります。こうした積み重ねによって、父・金正日から後見人を付託されていた叔父の張成沢(チャンソンテク)に対しても疑心暗鬼を深め、2013年12月の処刑にまで至りました。

 張成沢を処刑したあと、金正恩の本性は剥き出しとなりました。党と軍を思うがままに動かすため、それまでの慣例や序列を無視した「人事いじり」を始めたのです。それでも思いどおりにならない時は、容赦なく粛清・処刑する恐怖政治で臨むようになりました。

 2017年2月には兄の金正男まで暗殺しました。この暗殺の理由として、正男が亡命政権樹立や亡命に動いていたからだとする説がささやかれていますが、これは少々無理があると思います。正男が亡命政権を樹立するなら、自身の保護壁であった叔母の金慶喜(キムギョンヒ)やその夫の張成沢が健在であった時期に行動を起こしたでしょう。彼には金正恩政権と対決する意思はなかったと思われます。

 正男暗殺が実行されたのは、亡命政権樹立や亡命に向かっていたからではなく、金正恩自身が疑心暗鬼になり、そうした情報に惑わされたか、正男の存在を危険視する何らかの状況が生まれたからだと思われます。例えば、中国が正男を担ぎ始めたとか、北朝鮮当局が金正恩暗殺情報を入手したとかです。その中に亡命や亡命政権の情報が入っていたのかもしれません。いずれにせよ、金正恩が何らかの情報をキャッチし、張成沢の時のように疑心暗鬼に陥って暗殺した可能性が高いと思われます。

カテゴリー: 政治   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    「王座戦」初防衛に王手をかけた「鬼神・藤井聡太」の勝利の方程式は「パイナップル・キノコ抜き・室温20度」

    いくら漫画でも、こんな展開は描けない。将棋の第72期王座戦5番勝負第2局が9月18日、名古屋市の名古屋マリオットアソシアホテルで行われ、午前9時の対局開始からわずか30分で76手まで進む「AI超速将棋」を藤井聡太七冠が制して2連勝。王座戦初…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
派兵10万人超に!万単位の前線戦死者続出で「金正恩斬首クーデター」が勃発/北朝鮮「ウクライナ大派兵」の断末魔【後編】
2
あぁ牧秀悟が…下剋上「日本シリーズ進出」DeNAに巨人ファンの恨み節が止まらない「2020年のドラフト会議」
3
強制収容所より恐ろしい「北朝鮮将校6名爆死」で前線から兵士が逃げ出した/北朝鮮「ウクライナ大派兵」の断末魔【前編】
4
49戦して21敗「戦国最弱大名」は生涯落城経験9回の「弱い方のオダ」
5
オリックス監督を退任した中嶋聡が「日本ハムの次の監督候補」に加わった「過去の恩義」