社会
Posted on 2018年12月13日 05:55

「老境おひとり様生活」の過酷な現実(2)自立訓練とひとりの趣味を作る

2018年12月13日 05:55

 クサくて汚くなれば、自然と外出するのが億劫になってくる。しかも「24時間働けますか」などと言われた世代の男性は、仕事以外の交友関係がないため、個人的な友達もいない。趣味もなく、家でも妻とほとんど話さないという夫も、いくらでもいる。人づきあいをしていないと会話の中でも自己アピールができないので、妻の死後も新たな交友関係を作ることができず、孤立無援まっしぐら、なのである。

「定年後の行動はかなり重要になるので、その前に訓練しておくことです。まず濡れ落ち葉のように妻にくっついていないで、お昼は別々に食べるなど、夫婦で別行動をとること。私は講演で、没イチでない奥さんに『鬼嫁になれ。昼御飯は作るな。でないと、いざ自分が死んだら、ダンナがなんにもできない男になりますよ』と言っています。男性は自立訓練と同時に、妻がいなくなっても続けられる自分ひとりの趣味を作っておくこと。お互いに別の時間を作れば自然と夫婦の会話も増えてくるし、世界も広がりますから」

 そうしていざ、妻が死んでしまったら‥‥例えばこんな問題が発生する。

「いちばん大変なのは、死んだ妻の友達を知らないということ。葬儀のことを誰に知らせればいいのかで、最初に行き詰まるんです。妻はふだん、友人の話もしているんですが、夫は妻の話をろくに聞いていないから、覚えていない」

 妻がおおむね夫の交友関係を把握しているのとは正反対で、

「コミュニケーション不足で、妻に関する知識がないんです。これは奥さんが突然、救急車で運ばれるなどして入院することになった時の話ですが、ダンナさんが慌てて奥さんの着るものを持って病院に行くと、だいたいタンスの中からいちばん派手なフリルのついたようなパンツを持っていっちゃったりするんです。奥さんとしては当然、恥ずかしいんですけど、ダンナは妻の思考がわからないんですよね。死んだ時にもそうだから、事前に散骨してほしいとか妻の実家のお墓に入りたいとか、奥さんの希望を確認しておくことが大事です」

 没イチになると妻は外出が増え、夫は引きこもりになるというが、特に男性は、家族のためという生きがいがなくなり、茫然とした日々を過ごすことが多いとされるからコトは重大だ。

「没イチの精神的ショックから浮かび上がるのには、個人差があります。しかし、ここからがその後の人生における最後の花道となるのですから、希望を持って新しい生活を始めるべきです。まずは遺品整理からですね。女性は夫を亡くしたのを機に老人ホームに入る人も多いですが、男性の場合、妻を亡くして10年以上たっても遺品はおろか、部屋すら片づけられなくなりがち。そのうち自分がボケてしまって、最後は家が巨大な物置になってしまっていたというのでは‥‥」

 最終的に、遺族に迷惑がかかってしまうのである。

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