社会
Posted on 2019年07月15日 05:55

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<せん妄>「認知症と間違える高齢者の病気とは」

2019年07月15日 05:55

 会社員のCさんは、80歳の父親が急に荒っぽくなり周囲にどなり散らしたり、夜中にブツブツつぶやくことに悩んでいた。「認知症じゃないか」と心配になったCさんは父親を連れて、近くのクリニックを受診することに。

医師「お父様が意味不明なことをつぶやいたり怒りっぽくなったのは、いつ頃からですか」

Cさん「1週間前からです」

医師「その症状は昼間にも多く見られますか」

Cさん「夜に多く見られます」

 医師の診断結果は「せん妄」だった。

「せん妄」とは、病気や薬の影響などによって、一時的に意識障害や認知機能の低下が起こる状態のこと。高齢者に多く、症状としては時間や場所がわからなくなる、注意力や思考力が低下する、独り言を言う、幻覚を見るなどが挙げられる。認知症やうつ病と症状が似ているので間違えやすい。

 その基準となるのが「発症時期」と「時間帯」だ。認知症は症状が徐々に進行するのに対し、「せん妄」は、突然発症して目まぐるしく症状が変動し、夜間に悪化する傾向がある。例えば、5分ごとにせん妄状態と正常な状態を繰り返す場合もある。

 これは複数の要因が絡み合って発症することが多い。環境の変化やストレス、脱水などがきっかけとなって発症することも。特に、ステロイドなど中枢神経に作用する薬剤の影響により発症した場合は、できるかぎり薬剤を減量、中止するのが鉄則だ。

「せん妄」は認知症とは異なり一時的な症状であるため、適切な治療を行えば改善する。ただし、気づかずに放置してしまうと、神経系の後遺症を併発する可能性もある。

 攻撃的になったり、意味不明なことをしゃべるなどの症状が突然、現れたら、まずはかかりつけの医師を早めに受診することが大切だ。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

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