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記事全文を読む→ビートたけしの名言集「マイ・アルコール消毒液をシュッシュッ」
「よし、お前たち、とりあえずやっとくか」
3週間程前、楽屋に入った殿は、わたくし、そしてもう1人の弟子を認めると、自身のトートバッグからおもむろに、コロナウイルス対策だと思われるスプレー式の“マイ・アルコール消毒液”を取り出し、冒頭の言葉で弟子を近くに呼び寄せると「ちょっと顔出せ」と、シュッシュッと弟子の顔に液体を噴霧したのです。そして「よし、次は手だ」と続け、やはり、おのおのの手にスプレーを吹きかけたのでした。
弟子が顔と手を差し出し殿がシュッシュッとやる。このやり取りは、今や楽屋に入ってからの恒例儀式となっていて、殿は楽屋で弟子を認めると、
「こんなもん効くかわかんねーけどな」
などとつぶやきながらも毎回、顔と手にアルコールをシュッシュッとやってくれます。
ある日など、楽屋に弟子が3人いたため、殿からのスプレー待ちの小さな行列ができて殿は、
「お前ら、仕事にあぶれて炊き出しを待ってるかわいそうな大人か!」
と、ツッコんでいました。
また別の日には、その場にいたテレビのスタッフ4人、弟子3人の合計7人が次から次へと、殿からの“シュッシュッ”を受け、「ありがとうございます」とお礼を述べては下がるため、その光景はまるで、どこかの怪しい宗教の教祖が弟子に施すインチキ儀式のようでした。
とにかく、殿がスプレー式の消毒液を取り出した瞬間、わたくしたち弟子は瞬時に殿に近づいて目をつぶり、顔を差し出すのが今、暗黙の了解となっています。
付き人のゾマホンなどは顔や手だけでは飽き足らず、常に着用している派手な柄の民族衣装と同じ柄の帽子を取ると、頭を垂れながら「ととと殿、ここここちらにもおねおねおねがいします」と、ややハゲ上がった頭のてっぺんを差し出すのです。すると殿もなぜか訳知り顔で「うん」とうなずき、そこにシュッシュッとスプレーをしていました。その姿はまるで、浅草・浅草寺にある“体の悪い所に浴びせると効用のある煙”を手ですくっては頭に持っていく高齢者のようでした。
で、そんな殿からの“シュッシュッご利益”を受けると、わたくしはなぜか大変幸せな気持ちになり、体の免疫力が上がった気がして、体調もここ最近、すこぶるいいから不思議です。
最後に、つい先日も楽屋に入った殿は、いつものようにご自分のトートバッグからスプレー式のアルコール消毒液を取り出したのですが、この日は「今日は2本だ!」と口にすると、追加でもう1本取り出し、得意気に2丁拳銃の要領で両手に持ち、ダブルでシュッシュッと、わたくしの顔にスプレーしたのです。もちろん、わたくしの顔はいつもの倍、アルコールでベチャベチャとなりましたが、その分、幸せな気持ちも倍となり、少しばかり得した気分で1日を過ごさせていただきました。はい。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!
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