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千葉の名を知らしめた「キイハンター」は、最高視聴率30%を超す人気番組だった。これまで誰も見たことのないアクションをお茶の間に届けたが、常に危険と隣り合わせだった。
千葉は18年、週刊アサヒ芸能のインタビューでこう答えている。
「黒人の男と手錠でつながれていて、そのまま脱獄。その手錠を線路に潜り込んで、走って来る汽車で切断させるとかね」
千葉が「一歩間違えれば死んでいた」と言うのが、走行中の車を減速させながらセスナ機に飛び移るシーンだ。
「足が車のハンドルに引っかかって抜けなくなった。神経が足に集中するから、よけいに抜けない。『ああ、この高さでコンクリートに頭から落ちたら死ぬな‥‥』と覚悟して。そしたら、それで自分の足から意識が消えたんだろうね。スコーンと抜けて、セスナに飛び移ることができたよ」
本作で最初の妻となる野際陽子と知り合うことに。野際が亡くなってから1年後のインタビューだったが、尊敬の念は持ち続けた。
「陽子ちゃんが持っている『日本人にはないおしゃれなリズム』を生かしてあげようと。(劇中で)彼女を救出する時に『お嬢さん、死にたくなかったらお手をどうぞ』とキザなセリフを言ったりね。そんな遊び心を陽子ちゃんも楽しんでいたよ」
女学生雑誌の表紙を飾るほどアイドル的存在だった千葉が、まるで真逆の役柄で評判を取ったのが「仁義なき戦い 広島死闘篇」の大友勝利役である。
〈言うならアレらはオメコの汁でメシ食うちょるんど!〉
そんな破壊的なセリフが次々と飛び出す凶暴なキャラだ。実は当初、最後に自決するヒットマン・山中保を演じるはずだった。セリフも完璧に頭に入っていたが、クランクインの10日前、本来は大友役の北大路欣也から「役を代えてほしい」との申し出があった。
11年の週刊アサヒ芸能のインタビューで、千葉は偽らざる心境を明かしている。
「山中の役作りを終えていたんですよ。だから欣也ちゃんが山中をやりたいと言っても、了解できるはずはなかった」
そこから千葉は、自室に籠城した。ただ、監督はお互いのデビュー作からの付き合いとなる深作欣二である。これは監督の意向かと気づいた千葉は、そこからさらに24時間かけて、大友を演じることを決意。
「役のモデルの人の写真を見せてもらったら、かなり下唇が厚い人だった。だから下唇を引っくり返し、かつらに使うノリで固定して分厚さを強調していた」
さらに深作監督が手を叩いて喜んだ役作りは、北大路に襲撃された千葉が、とっさに目の前に段ボールをかざした場面だ。
「つまり、相手から顔が見えなければ防げるんじゃないかって知恵のなさを見せたアドリブ。結局、大友はテキ屋のボンボンであり、本物のヤクザじゃないってことを表現したかった」
もはや完全に大友勝利を楽しんでいたのだ。
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