愛らしい笑顔でファンを魅了してきた女優・坂口良子は、横行結腸ガンによる肺炎のため、この世を去った。1980年に放送された「池中玄太80キロ」(日本テレビ系)で西田敏行の恋人役を好演し、人気女優の地位を確立。83年に放送されたドラマ「天まであがれ!2」(日本テレビ系)で共演した俳優の坂上忍(46)が、坂口との思い出を語る。
「良子さんがお亡くなりになったことは、テレビのニュースを見て知りました。それは、もう、びっくりしました。『今度、お寿司でも食べに行こうね』ってメールをした数日後にお亡くなりになったので、いまだに信じられないっていうのが正直な気持ちです。明るくて、優しくて、普通っぽい人だった。あんまり、女優然としている感じじゃなく、自然体な方という印象だった。いろんな女優さんがいらっしゃいますが、偉ぶっていない方でしたね。『あっ、こういう人もいるんだ』って思いました」
ドラマ共演はこの「天まで──」だけだったが、2年前にタレントデビューした娘・杏里(22)のために積極的に出演していたバラエティ番組で共演。
また、坂口が親子共演をしていた番組でも一緒になり「娘をよろしくね」と頼まれたことをきっかけに、連絡を取り合うようになった。
「再会した時は、体がどうのよりも、ジェットさん(プロゴルファーの尾崎健夫)とやっと落ち着くというか、結婚のことを話していたので“幸せそうだな”って思ってました」
2011年の秋にガンが発覚したが、闘病中もドラマやバラエティ番組に出演し、周囲に悟られないようふるまっていた坂口。翌12年8月には、15年間にわたる事実婚を経て、尾崎と入籍した。
「ですから、具合が悪いこともまったく知らなかったし、そんなふうにも見えませんでした。それより良子さんは、杏里ちゃんのことをとても気にかけていて『かわいがってやって。まだまだ世間知らずの子だから、どこかで一緒になったら、お願いね』って、言ってたんです。良子さんはうちの母のことも知っているので『ママは元気?』って気遣ってくれて‥‥。全然具合が悪いようには見えなかった」
坂上は3月29日、自身のブログに、
〈57歳じゃ、あまりに若過ぎる。美人薄命ではないが、良い人薄命な気がしてならない〉
とつづった。
「僕は、良子さんのようなタイプの方が好きなので、ブログに書いたんだと思います」
坂上にとって坂口は、少年の日のすてきな思い出だったに違いない。