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スポーツ紙が書かないプロ野球“裏相関図”<パ・リーグ編>(1)「オリックスが仕掛ける全面戦争」

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 今シーズンのパ・リーグは、30億円もの大型補強でV奪還を目指すソフトバンクを軸に因縁が勃発しそうだ。また昨年の覇者・楽天も田中将大不在だけでなく、球団社長とフロントの軋轢が露呈するなど波乱含み。裏切りと遺恨が渦巻く最新相関図をとくとご覧あれ。

 2月16日、日本でいちばん早いオープン戦が沖縄県の石垣島で行われた。石垣島でキャンプを張るロッテと、隣の宮古島がキャンプ地のオリックスの対戦。その球場の傍らで、感慨深く見守る人物がいた。現在、オリックスの球団本部長である瀬戸山隆三である。かつてダイエーとロッテの球団本部長を務めていたが、昨年からオリックスに籍を移した。

 瀬戸山と石垣島の縁は深い。06年のロッテ在籍時、春夏甲子園連覇を果たし、ソフトバンク入団を希望していた八重山商工のエース・大嶺祐太を当時のバレンタイン監督が強引に指名。獲得が難航している時に、瀬戸山は入団に際する切り札を出した。

「獲得に応じてくれたら石垣島でキャンプをやりましょう。それにもし、(石垣島サイドが)オープン戦ができるような施設を造ってくれたら、ここでオープン戦をやります」

 その後、大嶺兄弟を獲得したロッテだったが、結局、オープン戦は、瀬戸山のロッテ在籍時代には実現しなかった。あれから8年、ようやく実現にこぎつけ、島民との約束を果たしたいきさつがある。

 ロッテの重光武雄オーナーとの確執で退団した瀬戸山は現在、オリックスの改革に乗り出している。その片腕として今季から働いているのが昨年、楽天を日本一にしながらも、球団社長の立花陽三と対立、辞表を出した加藤康幸前チーム統括本部長(現オリックス球団本部副本部長兼編成部長兼国内グループ長)だ。

 加藤はまず、その手土産として、楽天の鉄平とオリックスの後藤光尊とのトレードを実現。その一方で、ソフトバンクにも因縁のある2人は、オリックスの4番・李大浩の引き抜きに対して、報復を実行。余剰人員だった山崎勝己をFAで獲ると、馬原孝浩らを育てた高山郁夫投手コーチを獲得している。そればかりか、ソフトバンクでは出番のないペーニャまで一本釣りし、ソフトバンクとの全面戦争を仕掛けたのだ。

 他方、瀬戸山を放出したロッテは、昨年の伊東勤監督の就任以来、ガラリと陣容が変わっている。立花義家打撃コーチと清水雅治外野守備コーチは、もともと伊東監督とは、西武時代からの仲だ。

 そもそも伊東監督は、重光オーナー代行夫人と旧知の仲だったことから、ロッテの監督に就任した。今オフに涌井秀章を古巣・西武から獲得するにあたり、重光代行夫人からの強烈な推しがあったと言われている。

 加えて、ドラフトでは、東京ガス出身で本格右腕の石川歩、2位の吉田裕太、4位の吉原正平、5位の井上晴哉など即戦力がズラリ。スカウトたちの優秀さも注目されている。編成部は瀬戸山の息のかかった副本部長が担当していたが、瀬戸山とともに退団。現職担当のなりふりかまわぬスカウトが功を奏したものと言われている。

◆スポーツライター・永谷脩

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