社会
Posted on 2022年07月07日 09:58

東京都「首都直下地震等被害想定」の大ウソを暴く(15)病院も次々と倒壊!都の防災会議が目をそむける「医療機能マヒ」の地獄絵図

2022年07月07日 09:58

 都心南部直下地震をはじめとする大地震が発生した場合、「医療機能」もマヒ状態に陥ると考えておかねばならない。だが、都の元防災担当幹部は、

「今回の新被害想定における医療機能マヒへの言及は、わずか1ページにすぎません」

 こう指摘した上で、次のように明かすのだ。

「実際には停電や断水、非常用電源が枯渇し、事実上、病院機能は停止状態に追い込まれます。また、道路の寸断や建物の火災などによって、救急搬送もほぼ行えない事態が予想されます。仮に一部地域で救急搬送が可能であったとしても、救急車そのものの数が圧倒的に足りないのです。さらに、医師や看護師らも被災して身動きが取れなくなりますから、傷病者の受け入れはすぐさまパンクしてしまうでしょう。ただ、私が最も懸念しているのは『そもそも病院の建物自体が無事なのか』という点なのです」

 というのも、新被害想定には「災害拠点病院や二次救急医療機関などでは耐震化等の対策が概ねなされている」と記されているからだ。元防災担当幹部が続ける。

「この『概ね』という表現がクセ者です。都は病院をはじめとする特定建築物の耐震化率は88.4%(一昨年)に達したとしていますが、厚生労働省が実施した同時期のより詳細な耐震化率調査では、77.2%に留まっている。加えて、免震装置が設置されている最新鋭の病院といえども、長周期パルスの一撃(6月12日配信の当連載記事を参照)によって、あっさりと倒壊する危険性が指摘されているのです。さらに言えば、一部の建物しか耐震化されていない病院も少なくなく、新耐震基準を満たしていない一部の病棟が崩落した場合、修羅場と化した現場は、そのための救助活動で手一杯になってしまうでしょう」

 大地震が起きれば病院は全くアテにならず、傷病者は見殺しにされる──。これが医療機能マヒの偽らざる真実なのだ。

(森省歩)

ジャーナリスト、ノンフィクション作家。1961年、北海道生まれ。慶應義塾大学文学部卒。出版社勤務後、1992年に独立。月刊誌や週刊誌を中心に政治、経済、社会など幅広いテーマで記事を発表しているが、2012年の大腸ガン手術後は、医療記事も精力的に手がけている。著書は「田中角栄に消えた闇ガネ」(講談社)、「鳩山由紀夫と鳩山家四代」(中公新書ラクレ)、「ドキュメント自殺」(KKベストセラーズ)など。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2026年10月30日 11:30

    今年も園遊会に招かれなかった。いつかお声がかかる日が来るかもしれないと、ブックオフで値下げされていた「皇室入門」という新書まで購入し、熟読しているのに、いまだお呼びがかからない(笑)。ちなみに園遊会とは天皇・皇后両陛下が各界の功労者らを招き...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    スポーツ
    2026年11月02日 11:45

    10月30日に秋季キャンプを始動させた巨人の映像が流れ、高橋由伸ヘッドコーチと清水隆行打撃チーフコーチの就任が紹介された直後だった。11月1日放送の「サンデーモーニング」(TBS系)で駒田健吾アナウンサーが「上原さんは、ピッチングコーチは?...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年11月02日 15:30

    脳梗塞で療養中だった伊達みきお(サンドウィッチマン)が、10月31日の「サンドウィッチマンザ・ラジオショーサタデー」(ニッポン放送)で、2カ月ぶりに復帰した。「さあ、時刻はお昼の1時を回りました。こんにちは。サンドウィッチマンの伊達みきおで...

    記事全文を読む→
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/10/27発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク