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奇跡は起きないのだろうか。散歩から戻って、いくぶん元気な様子のジュテを見ながら、考えた。
「これからは、この世に奇跡はあるか…それとの闘いだな」
ポツリと言うと、ゆっちゃんは不思議そうな顔をしながら「うん」と頷き、「悲観的になっても仕方がないものね」と言う。
ジュテはこの日(9月29日)、よく食べた。
焼いたシャケをまず3分の2。ちょっとしょっぱかったのか、水をガブ飲みし、夕方にかけて残りも完食。動物病院が新たにステロイドの錠剤を処方してくれたので、飲ませる。ジュテは仰向けに抱っこして、口の両サイドを押さえて開かせると、あまり嫌がらずにパクンと飲み込んでくれる。
20時、排尿。21時前には、夕方に買ってきたカツオの刺身二切れを焼いたらほぼ食べ切り、夜中にまたシャケを少々、さらに「シーバ」のクリーミーなカリカリを食べ、水分も補給。1日としては結構な量である。
9月30日。動物病院に連れて行き、背中からステロイドを入れてもらう。アキコ先生に「昨日はよく食べました」と報告すると、「ステロイドを入れてますからね」と言う。ステロイドは食欲増進を促していたのだ。それがジュテにとっていいことかどうかはわからないが、食べている姿を見ているだけで、いい方向に向かっているような気になれた。
ところが翌10月1日は、途端に食欲が落ちてしまった。台風で雨が断続的に降りしきり、鬱々として人の気分も滅入るような1日だった影響もあるのだろうか。ステロイドを飲ませると排便(6個)、それから猫草を食べたら吐いてしまった。ちょっと元気がない。
寒いのは辛いだろうと猫用の小さな電気座布団を出して、その上に乗せたら寝てしまった。気が付くと弟猫のガトーが一緒の座布団にいて、仲よく寄り添っている。それを見ているうちに、僕も傍らで寝てしまった。
10月2日、ジュテは電気座布団で寝ていた。カリカリを少しだけ食べたような気がする。この日は仕事がキャンセルになったので、ずっとジュテといてやろうと決めた。ジュテは食欲なし。チャオちゅ~るをなぜか、全く食べない。ガトーは「ちゅ~る!」と言うだけで、目をランランと輝かせて近づいて来て、あっという間に1本を食べ切る。そのガトーもなぜか、食べようとしない。ん? どうした。食いしん坊のガトーまで食欲が落ちたら、たまらない。
夕方、動物病院に連れて行き、抗生剤などの補液、ステロイド、さらに吐いたことを伝えたので、吐き止めの液も投与してくれた。体重を計ったら、200グラムも減っていた。人間なら2キロである。
夜、共通の知人のHさんから電話があった。絵描きのゆっちゃんは、ジュテをモチーフにすることもある。ある時、大きな木の根元にジュテが佇む姿を描いて個展で展示したことがあった。それを猫好きのHさんが気に入って買ってくれたのだが、Hさんにとっても、自宅で毎日見ているジュテのことは気が気ではないのだと思う。心配してあれこれ、調べてくれた。
「お刺身を食べさせるのがいいみたい。お刺身は焼いたものより食べやすいのかしらね」
早速、近所の遅くまでやっているスーパーに、買い出しに出かけた。ジュテはシャケも脂がのっているのは苦手なので、メバチの赤身だ。
(峯田淳/コラムニスト)
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