芸能

竹内まりや「SEPTEMBER」レコーディングで「歌いたくない」騒動/日本音楽シーン名作裏面史

 今年8月、通算8枚目のアルバム「Quiet Life」(1992年発売)の30周年記念盤として、22年版最新リマスターCDと、2枚組アナログ・レコードを同時発売し、話題を呼んだ竹内まりや。

 11月13日には、彼女が主題歌を歌った「日曜アニメ劇場 時空の旅人」が BS12で放送された。シティポップとアニメ作品とのコラボが始まった80年代を振り返り、懐かしく思ったファンは多いことだろう。そんな彼女の名を全国区にした曲…それが大ヒット曲にして往年の名曲として知られる「SEPTEMBER」だ。

「SEPTEMBER」は、79年8月に発売された作詞・松本隆、作曲・林哲司というラインナップによる、彼女にとって3枚目のシングル。竹内はこの曲の大ヒットで、同年末の「日本レコード大賞」新人賞を受賞する。

 実はこの曲、そもそもは「年末の賞レースに参戦する、世間にウケる曲を作れ」というレコード会社の社命により、制作がスタートしたというから驚く。

 竹内は78年11月にシングル「戻っておいで・私の時間」と、ファーストアルバム「BEGINNING」でデビュー。翌79年5月発売のセカンドアルバム「University Street」も、大方の予想を大きく上回るヒットを記録していた。

 その一方で、シングルはヒットには恵まれず、レコード会社には「なんとしても賞レース参戦で、スマッシュヒットにつなげたい」との強い思いがあったという。

 そこで年末の賞レースから逆算して8月21日発売という日程が組まれ、楽曲制作がスタートした。当時、竹内は慶應大学に通う4年生で、2枚目のLPでもキャンパスライフが描かれていたことから、新曲もその流れのまま、9月に始まる欧米の大学生のキャンパスライフや夏休み、出会いや別れなどがテーマとなった。

 いよいよトラックが完成。ところが、いざ歌入れとなると、竹内が「借りていたディクショナリー、なんて歌いたくないわ。普通、使わないでしょ」と言い出したのだ。凍り付くスタジオ。しかし、プロデューサーは怯まず「それを言うなら、そもそもSEPTEMBERだって、普通は使わないんじゃないの」。

 そのひと言は、竹内を納得させるのに十分だった。

 この曲で印象的なのは、彼女の歌を引き立てる、EPOの魅力的なコーラス。実はこれも、プロデューサーがたまたま会社に遊びに来ていたデビュー前のEPOに声をかけ、そのままレコードに反映させたという逸話が残されている。EPOはのちに「DOWN TOWN」(80年3月発売)を歌い、一世を風靡することになる。

 その後、「SEPTEMBER」は、稲垣潤一や宮本浩次などのアルバムでカバーされるほか、 カラオケでも歌い継がれ、今聴いても全く色あせない、至極のキャンパスソングとして永遠の輝きを放っている。

(山川敦司)

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