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「ネイマールのW杯」をアシスト!? ブラジル人が手のひら返しで称えた西村レフェリーのジャッジ

 いよいよ盛り上がってきたサッカーのブラジルW杯。開催国の若きエース、ネイマールに注目が集まっている本大会だが、開幕戦はネイマールの2ゴールで、3-1でクロアチアとの激戦に勝利した。

 そんな同選手に「天使のごとく最高のプレゼントをくれた」と地元ブラジルで言われるのが、本大会で唯一日本人として笛を吹くレフェリーの西村雄一氏(42)だ。

 理由はネイマールが決めた勝ち越しゴールのきっかけとなったPK(ペナルティーキック)を判定したからだ。ブラジル代表FW、フレッジが倒れたプレーは、PKをもらうための演技ではなかったかという批判が噴出するほど、判定が難しいジャッジだった。

 現地で取材をしているジャーナリストの竹澤哲氏は話す。

「元々、西村レフェリーは、ブラジル人にとってイヤな思い出が残るレフェリーでした。開幕前、サンパウロの新聞、フォーリャ・デ・サンパウロ紙は『2010年大会でブラジルを敗退に追い込んだレフェリーが開幕戦で笛を吹く』という見出しを書きましたが、同氏は2010年南アフリカW杯大会の準々決勝、ブラジル対オランダ戦で主審を務め、その試合でブラジルは1点をリードしながらも2点を立て続けに決められて逆転負けをしています。この試合でブラジルは後半に退場者を出していますが、当時、ドゥンガ監督は1対0でリードして迎えたハーフタイムの時点で、『観客からの重圧で、すぐに笛を吹いて試合を止めてしまう。これでは試合のリズムに乗ることができない』、と、痛烈に西村レフェリー批判をしていました」

 同紙では、元レフェリーで現在コメンテーターであるスピノラ氏が、

「決してカードを多く出すレフェリーではないが、PKを多く取る。Jリーグでは、あまり文句を言ってくる選手はないので不用意に抗議をしたらよくないだろう、と警戒していました。しかし、今回ばかりは西村レフェリーがブラジルにとっては天使になりましたね」

 立場が違えば見方は変わるのは当然だ。現地で取材しているサッカーライターはこう話す。

「開幕戦という重圧の中、西村レフェリーは、すぐに笛を吹くことなく、流すところは流し、取るところはしっかりと取っていた。PKの判定だけではなく、全体の流れをつかみながら冷静なジャッジだったと思います。あのプッレシャーの中でゲームをコントロールするのは、世界のレフェリーの中でもトップクラスしか出来ません」

 人が裁く以上、絶対というものはない。しかし、1つ確実なことは、ネイマールにとっては「最高のアシスト」になったということだ。そして、そのチャンスを逃さないのが、ネイマールという大スターなのだろう。

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