特集
Posted on 2014年07月08日 09:58

「たけし金言集」“Dolls”の撮影で地獄を体験(1)

Sponsored
2014年07月08日 09:58

 前回、殿の付き人として参加した、北野映画の思い出について書かせていただきました。で、数ある中でも、わたくし的に、最も思い出深いのが、北野映画10作目にあたる「Dolls」でした。今回は、そんな「Dolls」の現場で経験した“小さな地獄”について書かせてください。

 同作撮影時、わたくしは殿の付き人になり5年目を迎えていました。さすがに5年目ともなると、殿とまったく喋れないといった感じではありませんでしたが、それでも、基本的には殿から聞かれたこと以外、口を開くことがほとんどない、まだまだたけし軍団カーストの中で最下層に位置する最若手の1人でありました。

 で、「Dolls」の撮影準備が進む中で、わたくしは早々と、「引越し屋の若者A」といった、一言だけ「終わりました」というセリフのある役を殿から頂いており、「HANA-BI」「菊次郎の夏」「BROTHER」と連続して、“殿の付き人”というたったそれだけの理由で、北野映画に出演できる喜びをかみしめていたのです。

 自分が出演するシーンの撮影当日、付き人でなく、一役者として撮影現場に入ったわたくしは、用意された衣装に着替え、メイクを済ませると、一度、北野武監督に「今日はよろしくお願いします」と挨拶を済ませ、ロケ先に用意された楽屋にて出番を待ちました。

 この時、40代後半だと思われる「引越し屋の先輩役のオヤジ」といった方と楽屋が一緒だったのですが、その方、大変気合いが入っており、出番を待っている間、短いセリフを何度もぶつぶつと復唱したかと思えば、おもむろに腕立て伏せをやり出したりと、役者として、黙々と“馬体”を仕上げていました。

 そんな“先輩役のオヤジ”を見ながら、〈なるほど、初めての北野映画出演のため、気合いが入っているのだな。その気持ち、よくわかる。ただ僕の場合は、すでに3本もの北野映画出演を果たしているため、緊張はしていても、少しばかりあなたより余裕がありますよ〉といった、今思えば“何を偉そうに”という、育ちの悪さから芽生えた優越感を心の中で抱きながら、出番を待っていました。

 待つこと2時間、北野組の助監督の方が楽屋に入ってこられ「それではお願いします。現場へどうぞ」といった挨拶もそこそこに、「北郷さんは少しセリフが変わったので、こちらでお願いします」と、小さなメモ書きを渡してきたのです。

「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」絶賛発売中!

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
アサ芸チョイス
社会
2025年03月23日 05:55

胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

記事全文を読む→
社会
2025年05月18日 05:55

気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

記事全文を読む→
社会
2025年05月25日 05:55

急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

記事全文を読む→
注目キーワード
最新号 / アサヒ芸能関連リンク
アサヒ芸能カバー画像
週刊アサヒ芸能
2025/7/22発売
■620円(税込)
アーカイブ
アサ芸プラス twitterへリンク