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記事全文を読む→中森明菜 孤高の歌姫の「光と影」(6)仕事を早く切り上げたがる
明菜が所属した「研音」で社長を務めた花見赫(あきら)は、明菜と初めて会った時の言葉が忘れられない。
「まだ高校1年だったけど、勉強なんかまったく好きじゃないって断言するんだ」
結局、デビュー後に中退の選択をするが、そのこともあって明菜の楽譜や台本には、すべて漢字にふりがなが振ってあった。それでも、イメージを伝えると、誰よりも理解するのは早かった。
また明菜は「ザ・ベストテン」で史上最多の69回の1位を獲得。番組スタッフからも「ベストテンの女王」と呼ばれたほど。そして島田は、その収録で何度も明菜に驚かされた。
「どんな歌手でもレコーディングしたものには勝つことができない。ところが明菜は、発売までの約1カ月で、歌詞の意味も楽曲自体のコンセプトも理解して、レコード以上に歌い上げてくれた」
明菜が持つオーラとは、周りの大人たちを本気にさせ、その輪の中に巻き込ませるパワーと同義である。そのため、島田は朝から晩まで明菜のレコードのことだけを考え、急性胃炎で救急車で運ばれたことが何度かあった。
また明菜は、レコーディングには島田以外の立ち会いを禁じた。井上陽水でさえも見学を拒否したほど、明菜は集中した状態で歌いたかったのだという。
「私はすべての仕事の中で、レコーディングが1番好きなの」
そう言って笑った明菜は、誰よりも輝いていた。85年、86年には、女性歌手として史上初の「日本レコード大賞」連覇を果たす。しかし〈凋落〉は、そのレコーディングから見えてきたと島田は言う。
「いわゆる尻が浮き上がってきた感じ。あんなに好きだったレコーディングの途中で時間を気にして、どこかに行きたがっていた。それを僕にも言わないということは、かなりビッグな男だなと思った」
そして近藤真彦との熱愛が明らかになる。明菜の集中力は低下し、それでいながら実績を重ねたことで発言力は以前よりも高まっていった。
島田はワーナーの社長に、自分1人でディレクターを続けることは危険だと訴えた。
「1人ディレクターを立ててワンクッション置き、僕はプロデューサー的な立場で見てみようと思った。でも新しいディレクターは、僕にも明菜にも怒られてかわいそうだったね」
明菜は89年の自殺未遂騒動で研音から離れた。島田も以降、明菜と会うことはなくなっていた。
90年代以降の明菜は、深酒や偏食が目立ち、対人トラブルもたびたび記事になった。誰の目にも明らかなほどやつれ、あの歌声も痛々しいまでに、か細くなっていった。
明菜が山口百恵やちあきなおみのように「真の歌姫伝説」を完結させる日は、いつの日か訪れるのだろうか──。
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