中森明菜の「NHK紅白歌合戦」出場への期待が高まっている。もっとも、それは毎年毎年、メディアが喧伝する「風物詩」のように待望論が叫ばれてきたが、今年は本当に有力視されているようだ。
その根拠として挙げられるのが、6月8日にNHK BSとBSプレミアム4Kで放送された「中森明菜トリビュートナイト!第2夜」。NHKの音楽番組「The Covers」が特集したものだ。デビュー記念日である5月1日、自身初となるトリビュート・アルバム「明響」がリリースされたが、これを記念して同日、彼女をリスペクトする有名アーティストが数々の名曲をカバーする、トリビュートコンサートが開かれた。そのライブ終盤、明菜本人がサプライズ登場してファンを大いに沸かせたのだが、この一部始終を会場で撮影し、なおかつ番組にしたのがNHK、という点が重要だ。
そもそも彼女がNHKのカメラの前に姿を現すのは2014年の「紅白歌合戦」以来11年ぶりということもあり、「紅白」再出場への布石とも受け取れる。もちろんNHKだけではなく、6月6日には「中川家 ザ・ラジオショー」(ニッポン放送)に告知なしでサプライズ出演。「はぁ~い、中森明菜でーす」と楽しげに挨拶し、生放送を楽しんでいたように、メンタルの具合はすこぶる良さそうだ。
そもそもNHKは、昨年から明菜の特番を何度も組み、ブームアップしてきた。そして実は2014年以来、10年ぶりの「紅白」出場を見越して、彼女と粘り強く交渉していたという。NHKとしては生歌唱をリクエストしていたものの、明菜サイドはVTRでの出演が条件。結局は折り合うことなく、計画はいったん頓挫した。
ただ、今回もNHKの音楽番組に出演したことで、同局との関係性は良好のまま継続していることが確認できた。しかも今年4月、大分県で開催された野外フェスに参戦するなど、ステージへの意欲を見せている。
そんな明菜の影を追っていた人物がいる。中山美穂さんだ。昨年、残念ながら他界し、今年4月にお別れ会が開かれたが、そんな彼女はデビューの頃から「部屋じゅう明菜さんのポスターだらけだった」と、猛烈ファンであることを公言していた。ただ昨年末の「紅白」では、中山さんの追悼コーナーはなぜか、設けられなかった。今度は明菜が「紅白」の舞台で、可愛い亡き後輩のために歌う時が来たのではないだろうか。
(魚住新司)