社会

ポルトガル人のホラ吹き旅行家が主張する「火縄銃を日本に持ち込んだのはオレだ」を検証してみたら…

「日本に鉄砲を持ち込んだのは自分だ」と公言してはばからない人物がいる。ポルトガル人の旅行家、貿易商のフェンナン・メンデル・ピントだ。

 ピントは16世紀に日本を含むアジアやアフリカを旅して自伝「遍歴記」を書いたが、あまりにも嘘が多く「ホラ吹きピント」と呼ばれている。現在もポルトガル語のダジャレには、ピントの名前をネタにしたものがあるという。

 ピントは「遍歴記」の中で「13回も生け捕られ、17回も奴隷として売り飛ばされた」などと荒唐無稽な記述をしている。日本には中国のランパカウ(浪白澳)から中国の海賊船に乗って航行中、暴風雨に遭遇し、種子島に漂着したという。

 彼はヨーロッパ人で最初に日本に入国した3人のうちの1人であり、火縄銃を持ち込んだと主張しているが、実際の来日は鉄砲伝来の翌年である天文十三年(1544年)が有力だ。また、ヨーロッパ人の初来航は、天文十年(1541年)にポルトガル船が豊後(今の大分)に着いたもの、という説が有力で、現代まで歴史学会では、ピントの主張は全く相手にされていない。

 だが、キリスト教伝来で有名なイエズス会のフランシスコ・ザビエルと、日本で顔見知りになったのは事実のようだ。その縁で母国ポルトガルに帰国する際にインドのゴアに立ち寄り、その地で死去したザビエルの遺体と対面している。遺体がまるで生きているようだったことから改宗し、全財産を寄付して修道士になったが、なぜかその後、脱会している。

 ピントは弘治二年(1556年)までに計4回、来日している。その後も来日していれば、歴史は変わったかもしれない。ホラ吹きピントがする荒唐無稽な話を真に受けたうつけ者の織田信長が、どんな行動をとったのか、気になるところである。

(道嶋慶)

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