社会
Posted on 2023年11月01日 05:59

【正式承認】アルツハイマー治療薬レカネマブ「認知症の進行を7カ月半遅らせる」に意味はあるか

2023年11月01日 05:59

 今秋、厚生労働省から製造販売が正式承認されたアルツハイマー治療薬「レカネマブ」(商品名:レケンビ)。今後は中央社会保険医療協議会での薬価(薬の公定価格)審議を経て、早ければ年内にも保険診療で使えるようになる見通しだ。

 認知症の6~7割を占めるアルツハイマー病は、脳内に異常なタンパク質「アミロイドβ」が蓄積し、脳神経細胞が傷つけられることによって起こる病だ。脳の神経細胞を活発にして対症療法的に症状の改善を図る従来の認知症薬とは違い、レカネマブはアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβそのものを除去する新薬である。

 約1800人を対象とした治験では、レカネマブを投与して約1年半後の記憶力や判断力などの低下を、27%抑制することができる。わかりやすく言えば「レカネマブはアルツハイマー病の進行を7カ月半遅らせることができる」との結果が出ているわけだ。

 しかし、待望の新薬の実用性を疑問視する声は少なくない。認知症に詳しい脳神経内科の専門医も、次のように指摘している。

「レカネマブは脳機能を回復させる根治薬ではなく、使用も早期のアルツハイマー病患者に限られています。しかも、アルツハイマー病患者の平均余命が発症から約8年であることを考えると、早期の段階で病気の進行をわずか7カ月半遅らせることに、いったいどれほどの意味があるのか。おそらく多くの患者やその家族は、効果を実感することができずに『なんだかなぁ~』という感じになるのではないでしょうか」

 加えて、副作用や費用の問題もある。この専門医が続ける。

「治験結果によれば、レカネマブを投与した患者の12.6%に脳の腫れ、17.3%に微小の脳内出血が認められたとされています。アメリカでの販売価格は、患者1人あたり年2万6500ドル(約390万円)とバカ高く、日本でも患者1人あたり年100万円単位の負担になる可能性があります。日本には高額療養費制度がありますが、いずれにせよ費用対効果の点で大きな疑問符がつく、というのが専門医としての偽らざる気持ちです」

 アルツハイマー予備軍も含めて、過大な期待は禁物ということだ。

(石森巌)

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    芸能
    2013年11月26日 10:00

    11月8日、歌手・島倉千代子(享年75)が肝臓ガンで死去した。島倉といえば、演歌の王道を歩むように、その生き様は苦労の連続だった。中でも、莫大な借金返済で味わった地獄は理不尽極まりなかったようで──。島倉は、男を信じて手形の保証人となったせ...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年05月12日 18:00

    先般、日村勇紀(バナナマン)が「体調不良」を理由に当面の休養を発表したが、実はその直前から体調への不安が見て取れた。それは4月26日放送の「バナナマンのせっかくグルメ!!」(TBS系)でのこと。ロケで訪れた貸別荘内のサウナで汗をかいた日村は...

    記事全文を読む→
    スポーツ
    2026年05月14日 11:30

    坂倉将吾をトレードに出して、先発候補と若い大砲を獲得する。そんな話を数年前にすれば、暴論と一蹴されただろう。だが、DeNAが正捕手の山本祐大をソフトバンクへトレードに出した今、広島ファンの間でその禁断のシミュレーションが現実味を帯びて語られ...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/5/12発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク