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記事全文を読む→蝶野正洋「『ほんとに蝶野さんですよね』って確認された」/テリー伊藤対談(2)
テリー アサ芸の読者にも、例えば定年になって、肩書がなくなった人って大勢いると思うんですけども。本の中に「プライドが捨てきれない」っていう相談が出てくるじゃないですか。やっぱり会社でそれなりの役職に就いたりしてた人が急に考えを変えるって難しいですよね。
蝶野 でも俺はね、逆にそれを楽しんだ方がいいと思うんですよ。実はこの間、下の女の子のバースデーケーキを、当日にサーティワンアイスクリームに買いに行ったんです。
テリー 誰が?
蝶野 俺がです。自分の子供のケーキを。
テリー ええっ、蝶野さんが? あまりにも意外すぎて、今、普通に「誰が?」って聞いちゃいましたよ。
蝶野 アハハハ。それでですね、車で行ったんですけど、ちょっと慌ててたもんだから、髪もボサボサで、サングラスもせずに店に入ったんですよ。そしたら、先に待ってるお客さんで全身に刺青が入った、体のゴツい奴がいて、たぶん総合格闘技か何かやってる奴だと思ったから、終わったら「お前、何やってるんだよ。プロレスでもやれば?」って声かけてやろうと思ってたんです。
テリー なるほど。
蝶野 そしたら、向こうから「すみません、蝶野さんですよね」って声をかけてきたから、「ああ、そうだよ。いい体してるね。何やってるの?」って聞いたら、「元プロレスラーです」と。大日本プロレスの元選手だったんですよ。で、アイスを買って、車で帰ろうと思ったら、そいつに「ほんとに蝶野さんですよね」って確認されたんですよ。
テリー ん、何で?
蝶野 それでバックミラーでパッと自分を確認したら、単なるオヤジにしか見えなかったんですよ。
テリー ああ、そうか。サングラスもしてないし。
蝶野 最近そういうこと多いんですよ。「すみません、蝶野さんですか? 握手してください」みたいな。多分、昔と違って腰は曲がってるし、「蝶野に似たおじいさんだな」とか思われてるんでしょうね。
テリー 特に杖ついて歩いてた時なんかはね。
蝶野 で、前はそういうの「蝶野に決まってるだろ」って、ちょっと不愉快だったんですけど、最近面白くなってきたんですよ。
テリー ああ、それは素晴らしいな。
蝶野 「あれ? 蝶野に似てるけど‥‥」っていうやり取りが何か好きになってきて。そういう変化とか変身ぶりっていうのは、もっと楽しんでいいんじゃないかと思いますよね。
テリー すごくわかります。老いていく自分をどう楽しめるかっていうのは、ほんとに大事なことですよ。
蝶野 腰がひどくなって、手術する前も空港とかの移動は車椅子じゃないとできなかったんですね。で、最初はそれも恥ずかしいなって思ってたんです。車椅子がなくなって腰が曲がって歩いてるのも何かね。
テリー 蝶野さんのイメージもあるしね。
蝶野 そうですね。でも、満足に歩けなかったのに、今は普通に歩けてるのが、すごい喜びだし、コンビニでもどこでも自分の足で歩いて行けるっていうのがうれしくてしかたないんですよ。だから、過去のものは過去のもので、俺はいいんじゃないかなと思ってますけど。
テリー 「前はこうだったのに」とか、あんまり昔の自分に固執してもね。
蝶野 だから同窓会なんかで集まったら、みんな杖ついて「どれだけ年取ってるか」って競争してもいいと思うんですよ。最近、長州(力)さんや藤波(辰爾)さん、武藤(敬司)さんとよくYouTubeで集まってしゃべるんですけど、そんな話ばっかりですよね(笑)。
ゲスト:蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)1963年、米シアトル生まれ。1984年、「新日本プロレス」入門。海外遠征を経て、1989年に帰国以降は武藤敬司、橋本真也と「闘魂三銃士」として活躍、数々の名勝負から「黒のカリスマ」と呼ばれる。1996年、「nWo JAPAN」を結成し、一大ムーブメントを巻き起こした。2010年からフリーランスとして活動。以降はAED救命救急、地域防災の啓発、東日本大震災の復興支援など様々な社会貢献活動を行う。最新著書「『肩書がなくなった自分』をどう生きるか」(春陽堂書店)発売中。
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