社会

【江戸幕府】罪人の死体の肝臓・胆嚢・脳を原料に薬を作って大儲けした斬首執行人の末路

 罪人の死体の肝臓、胆嚢や脳などを原料にした薬を作り、収入を得ていた一族がいる。江戸幕府の御様御用(おためしごよう)を務めていた山田家がそれだ。当主は代々、浅右衛門(6代吉昌からは朝右衛門)を襲名していた。

 御様御用は腰物奉行の配下で、将軍の佩刀や諸侯に下賜する刀などの「試し斬り」をする。当初は処刑された罪人の死体を引き取り、それを斬ることで刀の切れ味を確認していたが、その後は罪人の首をはねる死刑執行人を任されることになった。

 本来、斬首刑は町奉行所配下の同心の仕事だったが、簡単にできるものではなく、高い技術を必要とする。そのため、死体を斬り慣れている御様御用に代行を依頼することが増えていった。世襲といっても実子が跡を継いだのは2回だけで、多くの場合は弟子の中から最も優秀な者が後継ぎとなっている。

 ただし、山田家は徳川将軍の正式な家臣ではなかった。幕府から俸禄(給料)や知行(領地)をもらっていない浪人の立場だったが、小規模な大名に匹敵するほど裕福だった。

 本業の試し斬りを行った際に「折紙(証明書)」を出して報酬を得ていただけではない。試し斬りで培った知識を生かし、刀剣の鑑定で多額の礼金を手に入れていた。驚くべきは、罪人の死体の肝臓、胆嚢や脳などを原料にした「山田丸」「人胆丸」「浅右衛門丸」「人胆丸」「仁胆」「浅山丸」というような名前の薬を製造販売していたことだ。

 当時は労咳(結核)に人肉が効くとされており、多くの人がこの薬を買い求め、山田家は膨大な副収入を得ていた。

 明治になり、「東京府囚獄掛斬役」という役職名で引き続き死刑執行人を務めていたが、罪人の死体の試し斬りや人肉を使った薬の販売が禁止に。明治15年(1882年)には斬首刑が廃止され、山田家はその存在意義を失ってしまった。

(道嶋慶)

カテゴリー: 社会   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
3
神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
4
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身
5
永野芽郁の二股不倫スキャンダルが「キャスター」に及ぼす「大幅書き換え」の緊急対策