芸能
Posted on 2014年12月17日 09:57

追悼・菅原文太 民族派烈士“野村秋介”との濃密な関係(3)文太と野村氏の共通項とは?

2014年12月17日 09:57

20141218b3rd

 ともあれ、出会ったとき、文太は57歳、野村は55歳、年齢が近いこともあって2人はたちまち意気投合し、親交を深め友情を結んでいく。

 つねづね野村が口にしていたのは、

「男の友情につきあいの長短は関係なし。10年20年とつきあっても赤の他人は赤の他人のまま。一生つきあえる真の友というのは、邂逅という一瞬の魂の触れあいで巡りあえるものなのだ」

 というもので、文太の思いも同様であったろう。

 平成3年6月に「撃てばかげろう」が東映系で封切られ、その翌平成4年6月には、野村は政治団体「風の会」を結成し、夏の参院選比例区への出馬を表明。文太も「風の会」の推薦人として名を連ねたことは前述した通りだ。

 ただ、晩年の文太の「反戦・反原発・護憲」運動にコミットした言動を見ても明らかなように、2人が思想的立場を異にするのは厳とした事実であった。文太もそのあたりのことは野村に念を押したうえでの交流であり、「風の会」の推薦人承諾であったという。

 もっとも野村にしても、そんなことは少しも意に介するタイプではなく、むしろ彼には明らかに思想的立場の違う竹中労や大島渚、中上健次、筑紫哲也、遠藤誠といった友人も多かった。

 文太が野村秋介に魅かれたのは、野村の闘いに次ぐ闘いの生涯を通じて一貫して変わらぬ権力・体制に対するアンチテーゼ、常に弱者の側に立つという姿勢であった。それはまさに2人の共通項であったろう。

「野村さんとの共通点と言えば、青春時代を戦中、戦後で過ごしたオレらの世代は、みんな怨念を持って生きているんだろうね。いまから思えば、亡くなる1年くらい前から、言葉の端々に自刃する気配があったような気がするね」

 と、後年、文太は述べている。

 選挙運動期間中、週刊朝日で「風の会」が「虱の党」とヤユされたことに端を発して、野村は朝日新聞社に代表される「第三の権力」マスコミとの闘いを、自身の最後の闘いとして決断。

 平成5年夏、出獄10周年記念としての自らの戦闘記録である「ドキュメント風と拳銃──野村秋介の荒野」というビデオの製作に全面協力しリリースしたのも、すでに自決の覚悟を決めていたからであろう。

 同ビデオには文太も特別出演し、

「野村さんはどういう人かって‥‥ひと言で言って、ミラーボールのような人とも言えるかな。いろんな人に対して、いろんな変化に富んだ光を照射していくというのかな‥‥それを強く感じるね」

 とコメントし、野村をして、「やっぱり文ちゃんはわかってるなあ」と喜ばせた。

 わずか3年強に過ぎなかった文太と野村の交流。だが、それは何にも増して濃密な時間となり、熱い魂の触れあいとなったようだ。

◆作家・山平重樹

カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2026年01月14日 07:30

    昨年あたりから平成レトロブームを追い風に、空前の「シール」ブームが続いている。かつては子供向け文具の定番だったシールだが、今や「大人が本気で集めるコレクターズアイテム」として存在感を放つ。1980年代から90年代を思わせる配色やモチーフ、ぷ...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    社会
    2026年01月19日 07:30

    鉄道などの公共交通機関で通勤する人が、乗車の際に使っている定期券。きっぷを毎回買うよりは当然ながらお得になっているのだが、合法的にもっと安く購入する方法があるのをご存じだろうか。それが「分割定期券」だ。これはA駅からC駅の通勤区間の定期券を...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    社会
    2026年01月22日 07:30

    今年も確定申告の季節がやってきた。「面倒だけど、去年と同じやり方で済ませればいい」と考える人は少なくないだろう。しかし、令和7年分(2025年分)の確定申告は、従来の感覚では対応しきれないものになっている。昨年からの税制の見直しにより、内容...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/2/3発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク