約1カ月滞在するプロ野球春季キャンプを追いかけるのは、ファンばかりではない。日々の報道に携わるメディアも同じで、期間中は朝昼夜3食の食事代もバカにならない。30年以上キャンプ取材をするスポーツライターが語る。
「最近まではヤクルト、広島、オリックス、中日、日本ハム、ソフトバンクなどがケータリングコーナーの開放、食券支給などの形で、報道陣の昼食代を補助してくれていました。キャンプ地によっては近隣にコンビニエンスストアや食堂などがないことも多く、サポートは願ってもない形。練習試合などの日は、買い出しの手間を省けて腹を満たせると好評でした。ところがコロナ禍と前後して、広島はケータリングコーナーを取りやめ、中日もワンコインの有料化に踏み切りました。いずれも球団の予算削減の波が押し寄せたのです」
さらに今年、廃止に踏み切る球団があった。
「浦添でキャンプをするヤクルトです。昨年まではキャンプ地内にある売店で1日あたり700円分の食券が球団から支給されていましたが、売店が大幅な赤字で閉店。代わりに球場入り口近くに屋台が出店したのですが、こちらも球団がいいタイミングだとばかりに、経費を削るため食券配布を取りやめた。来年以降も復活はないようです」(スポーツ紙記者)
かといって食事代はもちろん、ホテル代、飛行機のチケット代などキャンプ取材にかかる費用は年々、上昇している。広告費減少や新聞読者離れで売り上げが落ちているメディアがキャンプを「現地取材」し続けられなくなるのも、そう遠い未来の話ではないだろう。