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細江純子が泥酔して乗った電車で行き着いた場所は…/日本全国「旅打ち」行脚~中山競馬(上)

 JRAの中山競馬場がある船橋には、船橋、西船、中山とつく駅を数えると11駅もある。地元の人でもその位置関係を把握しているのだろうかと疑問に思うほどだ。

 中山競馬場近くを走る京成線沿線には、電車で7、8分ほどの公営・船橋競馬場もある。行き慣れていないから、頭の中がこんがらがる。

 路線の話になるが、中山競馬場に行く際に、JR西船橋駅から最寄りのJR船橋法典駅に行くには千葉、埼玉、東京を環状につなぐ武蔵野線を利用する。武蔵野線は京葉線や南武線ともつながっていて、神奈川の鶴見や、グルッと回って東京駅まで接続しているから、中山競馬場が扇の要でもある。

 この路線のアヤで、かつて面白い話を聞いたことがある。テレビで競馬解説をしている、JRA初の女性騎手として活躍した細江純子さんが電車で寝過ごした件である。

 それは競馬解説者になって2年目のこと。競馬観戦が終わって、友人らと行きつけのパスタ屋でワインをガブ飲みしてしまった。滋賀県の自宅に帰るために電車に乗ったことまでは覚えているが、目が覚めて時計の針を見ると、23時を過ぎていた。車窓から見えるのは、電車に乗った時と同じ景色。

「まだ船橋法典駅なの?」

 電車はなぜかガラガラで、飲んでいた時間からは4時間以上も経っている。

 どうにか記憶を辿ってみた。船橋法典駅から40、50分ほどで東京駅に着いたものの、ぐっすり眠ってしまい、そのまま折り返して約2時間。終点の府中本町に到着した。それからさらに眠り続けて80分、元いた船橋法典駅に到着…ということのようだ。千葉を起点にして東京、千葉、埼玉、東京、埼玉、千葉。3都県を何度もまたいで、武蔵野線に約200キロも乗り続けた。細江さんがインタビューで、そう話してくれた。中山競馬、恐るべし。

 2月24日、2回初日。中山競馬、孤独のギャンブルのスタートだ。

 1週間ほど天気がぐずついて、ようやく晴れ間が広がったものの、気温が上がらず風が冷たい。船橋法典駅から10分ほど、おけら街道を歩いた。道すがらはあまり人がいない。

 指定席はネット予約があるので、場内には座ることができるシートがほとんどない。あっても、すでに場所は取られている。それは府中の東京競馬場でも同じだった。年配、高齢者は予約するのも面倒なので、足が遠のかないかな。場内に入ってみると、ファンで溢れ返っている。予約制度も仕方がないかもしれない。

 中山競馬場は東京競馬場と比較すると、コンパクトな印象だ。自分が今どこにいるのかがわかる。フロアに1階、2階という表示が多いので、「ここ、何階だったかな」と迷わないのがその理由だと思う。

 7R、①デビッドテソーロが出走している。この日はサウジアラビアでダートのGIサウジカップが開催され、昨年のGIドバイワールドカップで優勝した日本馬ウシュバテソーロが人気になっていた。

 ここ中山でも、テソーロ軍団のデビッドを勝ってみよう。そう思って出かけたのだが、モタモタしているうちに締切に間に合わず。結果は逃げたデビッドが好スタートを切り、そのまま押し切って1着。1~3着は5番人気、1番人気、2番人気の決着で、3連単9260円だった。この人気上位馬の組み合わせは、締切に間に合っていたら、買っていた馬券!?

 次の8R。4歳以上1勝クラス、ダート1800メートル、12頭立て。8枠に1番人気⑪シゲルカミカゼと4番人気の⑫コレクテイニアが入っている。データ的にも8枠が2着までに入る可能性大。ここは枠連③⑧、④⑧、⑤⑧、⑥⑧に各2000円といこう。

 結果は前々の競馬になって、先行した⑪が1着、2着は2番人気の⑦マウンテンエースで、枠連⑥⑧は1番人気の380円。初の中山見参はほぼトントンだったが、当たればよし。これも競馬だ。

(峯田淳/コラムニスト)

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