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記事全文を読む→舟木一夫「2年待ってくれと息子と約束した」/テリー伊藤対談(3)
テリー さっき30代40代ぐらいが自分と折り合いをつけるのが難しかったって言ってましたね。
舟木 そうですね。自分の殻から抜けられないんですよ。セミのように脱皮しようと思っても、「会社の営業上、それは絶対やってもらっちゃ困る」とか言われるものですから。
テリー 例えば何がダメだったんですか。
舟木 何て言うんですかね。今みたいに地でやるのがダメで。本名の上田成幸と舟木一夫の寸法が合わなくなってくるんですよ。そうすると、だんだん上田成幸の首が絞まってくるんですね。それで血流が悪くなって、半分体がしびれちゃって。20代の後半ぐらいから仕事を投げ出すなんていうことがありました。
テリー それはどうやって解消したんですか。
舟木 いや、できなかったんですよ。だからご承知のようにスキャンダラスなこともいくつかありましたし。
テリー ああ‥‥。
舟木 もうね、自分がどこにいるかわからないんですよ。眠剤(睡眠導入剤)飲まないと眠れない。でも、当時は眠剤もなかなか処方してくれませんから、それらしい売薬を買って、だんだん強いものを飲むしかないっていうことになってきて、仕事だけじゃなくて、起きてることがしんどくなってくるんですよ。だから、30歳から45歳ぐらいかな、もうその足かけ15年間ぐらいは、ほとんど仕事なんて呼べるものはしてないですよ。
テリー でも、そこから大復活したじゃないですか。
舟木 あれは40ぐらいの頃ですかね。ふと「商売替えしないとしたら、この先長いぞ」って思ったんです。その時はもう家庭も持ってるし、長男もいるし、「マズいよ、これ」と。それで、もう1回バッターボックスに立てるとしたらどこかなと思った時に、47歳で30周年が来るわけですよ。だから、行けるとすればそのタイミングかなと。
テリー なるほど。
舟木 その時、身長172センチなのに体重52キロしかなくて、かなり痩せちゃってましたからね。「これじゃ、お客さんの前に出ていけないよ」っていうんで、無理やり食べて太って、体調を整えて出ていったのが、47歳の30周年なんですよね。
テリー そうか。前向きになった舟木さんを見て、ご家族も喜んだでしょう?
舟木 そうですね。もうひとつ息子の存在が大きかったですね。当時、息子が小学4年生ですかね。ある日、久しぶりに一緒に風呂に入ったんですよ。ファミコンのドラクエか何かが出た頃で、「それが欲しいのかな」ぐらいのつもりで、「お前、何が欲しい?」って聞いたら、「自分の部屋」って言ったんですね。
テリー 小4って、そういう年頃ですよね。
舟木 でも、その時、賃貸のマンションだったんですよ。だから、そう言われた時に、「おいおい、俺は自分が子供の頃と同じような思いを彼にさせてたんだ」と思ったんですよね。で、その時にまず「こいつが男の口約束を守らない男になると困るな」と。「2年待ってくれ」って言ったんです。
テリー 「すぐ作ってやる」だと、ウソになっちゃうかもしれないからね。
舟木 ええ。「お前、俺の仕事がうまくいってないのを知ってるな。だったら2年待ってくれ」と。「お前、中学受験するって言ったよな。中学の入学式は必ずお前の部屋から出す」って約束したんですよ。で、ちょっと借金もしましたけど一軒家を建てて、彼が小学6年生の、中学受験に行く時はその部屋から出したんですよ。約束が守れてホッとしました。
テリー 格好いい話だな。
舟木 それから47歳の時に全国を回り始めたら、これが行く先々でお客さんが超満員だったんですよ。
ゲスト:舟木一夫(ふなき・かずお)1944年、愛知県生まれ。1963年、「高校三年生」でデビュー。累計230万枚の大ヒットに。同年、「第5回 日本レコード大賞新人賞」受賞、「NHK紅白歌合戦」に初出場。その後も「修学旅行」「学園広場」などのヒットを飛ばし、西郷輝彦、橋幸夫と共に"御三家"と呼ばれた。また俳優としてもNHK大河ドラマ「源義経」、連続テレビ小説「オードリー」、「銭形平次」(フジテレビ系)など多くの映画・ドラマ・舞台に出演。銭形平次の主題歌「銭形平次」も代表曲のひとつ。2022年に芸能生活60周年を迎え、現在も年間ツアーや座長公演を開催。「舟木一夫コンサート2024」を全国で開催中。「舟木一夫コンサート 2023ファイナル 2023年11月16日 東京国際フォーラムA」DVD&CD発売中。
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