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Posted on 2025年08月25日 18:30

タイパ全盛時代に逆行!「夜行フェリー」が旅人を惹きつけるワケ

2025年08月25日 18:30

 夕暮れに港を出て、目覚めれば別の街――。夜行フェリーがいま、旅好きの間で密かなブームになっている。効率やタイパを優先する日常から一歩抜け出し、鍵付きの個室で横になり、湯船で体をほぐし、デッキで星を仰ぐ。そんな“何もしない時間”こそ、実は最も贅沢だと気づかせてくれる。

 象徴的なのが、名門大洋フェリーの新門司~大阪南港航路だ。鍵付きの個室はビジネスホテルさながらで、眠っている間に距離を稼げるのが最大の魅力。新幹線+ホテル利用より安価で、身体の負担も軽い。食堂、売店、展望サロンまで備え、かつてブルートレインが理想とした空間が、いまは海の上で楽しめる。しかも1万円強の日もあり、宿泊費込みと考えれば驚くほどお得だ。

 船旅再評価を後押ししたのがネット環境の進化だ。かつて「繋がらないWi-Fi」の代名詞だったフェリーだが、衛星風呂度バンドインターネットのStarlink導入で大きく改善。窓のない個室でも安定接続が可能で、1航海30分×3回の無料枠が設けられている。常時接続ではないものの、必要なときだけネットを使い、あとは本や景色に身を委ねる――その“ほどよいオフライン感”が心地よい。

 夜行フェリーは九州~関西だけでなく、舞鶴~小樽、敦賀~苫小牧、新潟~小樽、名古屋~仙台~苫小牧など全国に広がる。八戸~苫小牧、青森~函館といった短距離夜行もあり、かつての寝台列車の役割を、いまはフェリーが担っているのだ。またいま、名門大洋フェリーを含めたフェリー事業6社が共同で往復乗船券やグッズが当たるSNSキャンペーンを張るなど、その魅力を伝えようと力を入れている。

 夜行フェリーには、コスパやタイパだけでは測れない価値がある。移動を「手段」から「体験」へと変える、ゆとりの時間こそが再評価されているのだ。急がない旅にも、急ぐ旅にも使える夜行フェリー。次の長距離移動では、まずフェリーの時刻表を開いてみてほしい。海の上で過ごす一夜は、きっと特別な旅の記憶を刻んでくれるだろう。

(ケン高田)

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