スポーツ

81歳・張本勲「懲りない無礼」を許した20歳・女子ボクシング入江聖奈の「あっぱれ」/スポーツ界を揺るがせた「あの大問題発言」

 もう慣れっこだったとはいえ、またまたこの男がブチかましてくれた。野球評論家の張本勲氏が2021年8月8日、「サンデーモーニング」(TBS系)にリモート生出演。東京五輪のボクシング女子フェザー級で金メダルを獲得した入江聖奈に言及し、

「女性でも殴り合いが好きな人がいるんだね。見ててどうするのかな。嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合ってね。こんな競技、好きな人がいるんだ」

 この前時代的な大放言によって翌週、番組内で謝罪するハメになったのである。

 スポーツコーナー直前、司会の関口宏により「番組からお詫びをしなければなりません」と振られた唐橋ユミが、

「先週のスポーツコーナーで、張本勲さんのコメントの中で女性及びボクシング競技を蔑視したと受け取られかねない部分があり、日本ボクシング連盟より抗議文が寄せられました。不快に思われた関係者の皆様、そして視聴者の皆様、大変申し訳ございませんでした」

 この後、司会者である関口のお詫びに続いて、張本も申し訳程度に頭を下げた。

「今回は言い方を間違えて反省しています。以後、気を付けます」

 スポーツ紙記者がアキレ返る。

「張本さんは日本の野球と大相撲以外にはほとんど興味がなく、大リーグやサッカーほか、知らない競技は好きではありません。そのため、この番組でも『どこが楽しいんだ』『やっている人の気が知れないね』といった問題発言は枚挙にいとまがありません。ただ、さすがに金メダリストに対して『嫁入り前のお嬢ちゃん…』は、偏見云々の前に失礼すぎましたね。取ってつけたように『それにしても金だから、あっぱれあげてください』とコメントしたものの、当然のごとく、日本ボクシング連盟からはTBSに抗議文が届いた。TBSも文書で連盟に謝罪した上で、翌週の番組内での公開謝罪となったようです」

 ところが、一方の入江は自身のTwitterで、「東京スポーツ」から受けたインタビュー記事を引用し、「個人的な意見」としながら、こんな文章を綴ったのである。

〈自分がおばあちゃんになって孫がボクシングを始めるって言ったら「女の子なのにー」って絶対に言っちゃう〉

〈張本さんに関して特に何も思っていません〉

〈ボクシングにスポットを当ててくださったので「アッパレ!」です〉

 この時、入江20歳、張本氏は81歳。つまり、2人の年齢差は61歳もあるのだが、入江は暴言を吐いた張本氏を責めるわけでもなく、それどころか「アッパレ!」と自然体で言葉にできる。その人間性に、好感度がさらに上がったことは言うまでもない。

 そんな彼女には各テレビ局のバラエティー番組から出演依頼が殺到したが、当初からの目標だった「有終の美を飾り、大学でボクシングを卒業」を全う。目下、東京農工大学大学院で、カエルの研究に没頭しているといわれる。

 初志貫徹。そんなブレない姿勢にこそ、まさに「あっぱれ」を送りたい。

(山川敦司)

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