「色々な影響力のある選手を重視していく」
5月14日に報道陣の取材に応じ、パリ五輪で注目のオーバーエイジ(24歳以上の選手登録を認める制度)について語ったのは、サッカーU23日本代表の大岩剛監督だ。
パリ五輪のアジア最終予選を兼ねたU23アジアカップで優勝を成し遂げたのも束の間、メンバー登録枠18人を巡るサバイバルレースが勃発している。
「本大会を前に代表チームで活動できるのは、6月のアメリカ遠征のみ。会見で大岩監督は、オーバーエイジやアジアカップに招集できなかった海外組の選手について『呼べるなら呼びたい』と話していました」(サッカーライター)
常に論争となる守護神争いから見てみると、ここはアジアカップでスーパーセーブを連発したGK小久保玲央ブライアンで文句なし。と思いきや、21歳ですでにA代表のゴールを守る鈴木彩艶が「ぜひ行きたい」と直訴しているという。頭を悩ませる選択を迫られそうだ。
一方、本大会出場を決めた直後から、最大3枠のオーバーエイジの候補に挙がっているのは、主にディフェンスラインの選手だった。
「センターバックに冨安健洋と板倉滉のA代表コンビや、大岩監督が鹿島アントラーズの指揮官を務めていた時の昌子源と植田直通のコンビをリストアップ。左サイドバックには、3バックにも対応できる伊藤洋輝と町田浩樹も候補に入っています」(前出・サッカーライター)
これで3枠をパンパンに使い切ることが予想されるが、サッカー関係者の間ではこんな話も出ていた。
「アジアカップで思わぬ収穫だったのは、両サイドバックの大畑歩夢と関根大輝。この2人が大車輪の活躍を見せ、優勝に大きく貢献しました。ここにオーバーエイジを使うのはもったいないと言われるほど、最大級の評価を得ています」
また、攻撃陣はアジアカップに招集できなかった人材が豊富だ。「パリ五輪世代のエース」と呼ばれ、デンマークのブレンビーに所属するMF鈴木唯人は、直近の7試合で6ゴール&5アシストと大暴れ。
さらに、A代表でも不可欠な存在のFW久保建英も東京大会のリベンジに燃えていて、クラブが出場にゴーサインを出せば、間違いなく選ばれる。
そんな中、オーバーエイジの隠し玉として「水面下で接触している選手がいる」と、前出・サッカー関係者が声を潜めてこう明かす。
「フランス1部のASモナコに所属するFW南野拓実です。今季は絶好調でチームを引っ張っており、ここまで9ゴール&6アシストを記録。パリ・サンジェルマンに次ぐリーグ2位が決まり、18-19シーズン以来のチャンピオンズリーグ出場権を獲得しました。今度がパリ五輪ということもあり、南野はフランスの環境を熟知。大岩監督が求める『色々な影響力のある選手』という条件にぴったりなのです」
カタールW杯の大舞台で「10番」を背負った「モナ王」(ASモナコと王様をかけた用語)の降臨となれば、若手にとってお手本になること間違いなし。パリの地で心強い戦力となりそうだ。
(風吹啓太)