スポーツ

小川直也が22年後にバラした「猪木の絶対指令」橋本真也を殴る蹴る/スポーツ界を揺るがせた「あの大問題発言」

 正月早々、プロレス界を揺るがす前代未聞の事件が勃発したのは、1999年1月4日の新日本プロレス東京ドーム大会だった。詰めかけた6万人の大観衆が見つめる中、新日のエースで「破壊王」として知られる橋本信也に挑戦状を叩きつけたのが、アントニオ猪木率いる新団体UFOのエース、小川直也である。

 元柔道選手権王者の小川はこの2年前、プロ格闘家に転身。両者の対決は2回あり、戦績は1勝1敗だった。とはいえ、

「プロレス入りした当初の小川は正直言って今ひとつパッとせず、専門誌の記者の間では、このままいけば大相撲から転身した元横綱・北尾光司の二の舞になる、と囁かれていたものです」

 とプロレス担当記者が振り返る。しかもそれまでの試合は、予定調和のニオイが強い「一話完結の面白みに欠けるドラマ」を思わせる内容だった。

 ところが、そんな流れを根底からブチ壊す、文字通り「掟破り」な展開に終始したのが、この試合だった。

 橋本の技を一切「受けようとしない」小川は、とにかく殴る蹴るのやりたい放題。小川が繰り出すパンチにより、みるみる橋本の顔面が真っ赤に染まるも、お構いなしの小川は馬乗りになって、なおも殴打。最後は橋本の顔面を踏みつけるという暴挙に出たことで、大観衆はア然ボー然。試合はノーコンテスト(無効試合)に終わったものの、誰が見ても小川の圧勝だった。柔道から転向後、低迷していた小川が皮肉にも、ガチンコでその強さを見せつけることになったのである。

 とはいえ、なぜ小川はあえてガチンコで橋本を潰しにかかったのか。当時、メディアでは、こんな見方があった。小川暴走の裏には、自らが創設した親日プロを追われて興したUFOへの資金援助が打ち切られつつある中で、ボスであるアントニオ猪木による意趣返しではないか、と。

 だが、当事者の口から事実が語られることはなく、「1.4事変」の真相は闇の中へ。

 そしてガチンコ喧嘩マッチから22年が経った2021年8月23日。当事者である小川が「こやぶるSPORTS超」(カンテレ)に出演すると突如、この事件に関して重い口を開き、プロレス界に激震が走ったのだ。小川はこう述懐した。

「これはまだ、みんなに話したことはないんですけど、猪木さんに『ちょっと来い』って言われて。『これはもう世紀を懸けた一戦にするから、ちょっとお前、やって来い。一方的に蹴りまくって、最後は蹴ってリングから出すまでやれ』って言われたんですよ。猪木さんからやれって言われたら、ノーとは言えませんから、やって来なきゃいけないわけです、こっちは」

 この二十数年間で、事件に関する多数の真相究明本が出版されたが、まさかアッサリと明かされるとは…。

 とはいえ、当時の猪木は病床におり、橋本もすでに鬼籍に入った。なぜ小川がこのタイミングで告白したのかは、今もって謎のままだ。

(山川敦司)

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<夏ウツ>日照時間の長さが睡眠不足と関係!?

    340060

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<めまい>ストレスや睡眠不足で耳鳴りや難聴も!?

    339610

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<胃の不調>寒暖差ストレスで自律神経の乱れ!?

    336213

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
綾瀬はるかに大笑い!「葉っぱで胸隠し」「バカシャツ」NHK終活ドラマは「名場面」だらけ
2
3A自由契約の藤浪晋太郎獲り「自粛ムード」を生んだ日本ハムの「チーム内ウハウハ事情」
3
広瀬すずの代表作「ちはやふる」で先にキャスティングされていたのはのんだった/代役女優の「替えが利かないブレイク魔術」(3)
4
【憤激ルポ】「パスポート更新オンライン申請」にまさかの罠!「手書きの申請書を窓口に持ってこい」ってよ
5
巨人・甲斐拓也「自信満々の交流戦データ」がまるで役立たず…1イニング複数失点の「起用問題」