社会

「イスラム国殺害予告事件」は“邦人誘拐ビジネス”の始まり?(1)IS国の狙いとは?

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 1月20日、ついにイスラム国が日本人2人に殺害予告を出した。日本政府は必死の交渉を行っているが、相手は烏合の衆のテロ集団などではない。豊富な武器と弾薬を所有し、その資金源は石油の密輸と掠奪、そして誘拐である。イスラム国兵士はすでに次の邦人を標的として捉えている!

「日本政府と日本国国民に告げる」

 こう始まるビデオ声明が、突如動画サイトに掲載されたのは1月20日午後2時45分頃のことだった。

 映像には座らされた2人の日本人。その背後にはナイフを持った黒ずくめの覆面姿の男が。程なく1人が昨年8月18日にイスラム国(以下IS国)に拘束された湯川遥菜さん(42)、もう1人が昨年10月25日にシリアからIS国の支配地域に向かったジャーナリストの後藤健二さん(47)であることがわかる。

 そして覆面姿の男はこう宣言したのである。

「日本国民へ。お前たちの政府はIS国と戦うために2億ドルを拠出するという愚かな決断をした。お前たちの市民の命を救うために2億ドルを支払うという賢い決断を日本政府にさせるため、圧力をかける時間はあと72時間」

 しかも、支払わない場合、

「このナイフが悪夢になるだろう」

 と殺害を予告したのだ。

 事件は安倍晋三総理(60)の16日からの中東訪問と関係している。17日にエジプトを訪れた総理は、IS国と戦う周辺各国に、総額で2億ドルの支援を約束したのである。

 この2億ドルはあくまで人道支援が目的だが、IS国は日本が牙を剥いたと一方的に解釈した。身代金「2億ドル」も「敵に払う金と同額を払え」というメッセージであることは明らかだ。指定された「72時間」にも意味があった。中東に詳しい軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が解説する。

「3日間という漠然とした時間ですが、向こうは時間の単位をあまり気にしません。アラブ圏の感覚では『すぐ決めろ』ということです」

 実は昨年11月、後藤さんの家にはIS国から身代金の要求メールが届いていた。13年9月、その前身の組織に拘束された経験のある報道カメラマンの横田徹氏が続ける。

「(要求が来てから)交渉はしていたはずですが、それは交渉の余地のある状態です。動画が出てしまうとその余地はなく、払うか払わないかしかない」

 昨年8月以降、IS国がアメリカ人を3人、イギリス人、フランス人各1人を公開処刑しているのは周知のとおり。まさに待ったなし、の状況になってしまったのだ。

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