社会

【切腹の現場】わずか13歳の「実の娘」に介錯された戦国武将の最期

 武士は切腹の際、苦痛を軽減させる意味もあり、最期は首をはねる介錯が行われるのが一般的だ。腕に覚えのある武士が介錯人を務めるのだが、わずか13歳の実の娘の介錯により、命を絶った戦国武将がいる。その名を黒木家永という。

 黒木家は平安時代から続く一族で、筑後国(現在の福岡県南部)の黒木郷に住む国人領主だった。父の代は大友氏に仕えていたが、家永は当主になると、大友氏に反旗を翻す。そのため、大友家の当主・宗麟は1万人の軍勢を従えて永禄7年(1564年)、家永の居城である猫尾城に攻め寄せた。この時、家永の軍勢はわずか1000人。多勢に無勢とあって最後は降伏し、その後は再び大友氏に仕えるるようになった。

 ところが、参戦した元亀元年(1570年)の今山の戦い、天正6年(1578年)の耳川の戦いで、大友軍は大敗。これがきっかけで筑後は龍造寺家の侵攻を許し、家永は猫尾城で籠城したが、龍造寺政家、鍋島直茂軍に包囲されて降伏。嫡男である延実を人質として差し出すことになり、再度、龍造寺隆信に仕えることになったのである。

 その隆信が天正12年(1584年)の沖田畷の戦いで戦死したことで、またしても運命は一変。家永は隆信の死を好機と捉えた大友宗麟軍の侵攻を食い止めるため、2000人に満たない軍勢で1万2000人の大友軍と対峙することになった。

 だが2カ月あまりも籠城が続き、兵糧が尽きたことに加え、家臣の裏切りもあり、ついには抗戦を諦めて、部下や家族の助命を条件に、切腹を決意した。この時、介錯したのが、わずか13歳の実の娘だったといわれている。享年60。

 娘は父の介錯を終えると、持っていた刀で敵を1人斬り捨て、刀と家永の首を大友軍へと投げつけたとされているから驚きだ。娘はその後、生け捕りにされ、高良大社に送られた。鍋島直茂の家臣・大木兵部輔の妻になったという。なお、娘の名前は伝わっていない。

(道嶋慶)

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