スポーツ
Posted on 2025年02月12日 05:59

ジーコ「つば吐き事件」の裏側…後日インタビューで出た「読売」「渡辺恒雄」の名前

2025年02月12日 05:59

 その衝撃的すぎる事件は、1993年のJリーグチャンピオンシップ「鹿島アントラーズVSヴェルディ川崎」で発生した。

 この試合は1stステージで優勝した鹿島と2ndステージ優勝した川崎が激突し、Jリーグの初代王者を決めるものだった。

 当時のチャンピオンシップは2試合制で、1試合目はヴェルディが2-0で勝利した。2試合目は鹿島が先制し、1-0でリードしたまま後半に突入。ところが後半終了間際に、鹿島がペナルティーエリア内のファウルでPKを取られる。これに激怒したジーコはペナルティーポイントに置かれたボールにつばを吐き、退場となる。結果、ヴェルディがJリーグ初代王者の座に就いたのである。

 後日、ジーコに話を聞く機会があった。ジーコはつばを吐いた行為について「反省している」とした上で、

「あの試合の主審は明らかに、ヴェルディ寄りの判定が多かった。彼は(ヴェルディの前身である)読売クラブでプレーしていたことがある」

 フェアな試合ではなかったと主張したのである。さらに厳しく指摘するには、

「Jリーグには読売の力が働いている。渡辺恒雄氏の影響が大きい」

 ジーコから読売新聞社社長(当時)の名前が出たのは驚きだった。

 PKを取られたプレーはファウルというよりも、オブストラクションに見えた。ただ、チームのレベルとしては明らかにヴェルディの方が上だったので、ジーコの主張はどうかと感じた。

 ただ、ジーコの主張通り、当時のJリーグと読売グループは対立していた。特に運営母体の企業名をチーム名に入れるかどうかで、当時のチェアマン川淵三郎氏と渡辺氏が激しく対立していたのは確かだ。1991年から鹿島の前身である住友金属でプレーしていたジーコは、こうした情報をよく知っていたのだ。とはいえ、ジーコはかなり思い込みが強い…という印象だった。

 ジーコの話に驚き、半ば呆れつつ聞いていた。ただ、当時の日本はまだまだ、二流のサッカー後進国。そんな日本の試合で、かつて世界を代表する選手だったジーコがここまで真剣に怒り、熱く主張する姿にはちょっと感動したものだ。

(升田幸一)

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月23日 05:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月18日 05:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月25日 05:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/6/24発売
    ■620円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク