昔からのJリーグファンならみな一家言あるであろう「90年代の最強チームはどこか」というテーマ。サッカー元日本代表の城彰二氏の場合はどうだったか。自身のYouTubeチャンネルで展開した「回答」はというと、
「俺の中での最強はヴェルディ、マリノス、鹿島」
ファンならば誰もが納得しそうな3チームを指名したのである。まずはヴェルディ川崎の強さについて解説する。
「ラモスさんいてカズさんいて、ビスマルク、柱谷哲二さん、北澤豪さん、都並敏史さんと、いろんな選手がいた。選手層が厚かった。キリがないぐらい、すごいメンバーが揃っていた」
強さの秘密はJリーグ最高峰の選手にあるというのだ。続いて横浜マリノスについては、
「ラモン・ディアス、ビスコンティ、エバートン、神野卓哉さん、三浦文丈さん、木村和司さんや水沼貴史さん、井原正巳さんはもちろんね。錚々たるメンバー。派手さはないけど、特徴のある選手たちばかり。個の能力は高かった」
やはりすごいメンバーが揃っていたのだが、ヴェルディと比べると職人肌の選手が多かったように感じたという。
この2強はJリーグの前、日本リーグ時代からのライバル。Jリーグが開幕してそこに割って入ったのが、鹿島アントラーズだ。
「アルシンドは向こうでは、そんなに有名な選手じゃなかった。だけどジーコさんと組んで、コンビネーションがによかった。鹿島はヴェルディやマリノスと比べると、抑えめというかサッカーのプロ集団を作る、みたいな傾向があった」
城氏は鹿島にいい思い出がないそうで、こんな秘話も明らかにしたのである。
「94年からプレーして、ほとんどのチームからゴールをした。だけど最後の鹿島からなかなか取れなかった。何年かの時に、フリーキックかクロスに(頭で)ギリギリちょっと触るぐらいでコースが変わって入った。蹴った人のゴールになったんだけど、俺だって猛烈にアピールした。鹿島だけ取ってなかったから(笑)。公式(記録)は俺のゴールに変わった。でもそれ以降、あまり決めたことがないぐらい、鹿島との相性はよくなかった」
そしてこの3チームに続くのが、ジュビロ磐田だという。
「ジュビロはメンバーもよかったし、テクニシャンが多かった。いなされるっていうか、ボールを取りにいってもポーンと軽くあしらわれる。連動力もすごかった」
90年代後半であればジュビロ磐田が強かったと、当時を振り返ったのである。
最強チームからは外れるが、個人的に嫌な思い出が残っているのが清水エスパルスだそうで、
「開幕から4試合連続で出場してゴールして、選抜でイタリアに遠征に行って10試合連続ゴールを決めて、日本に帰ってきて最初に出た試合が清水。コンディションもあって途中出場だったんだけど、何もできないで終わった。すごく強かった。全く通用しなくて、俺の鼻をポキっとエスパルスに折られて、プロって違うなと改めて思ったチームがエスパルス」
90年代に比べると、現在はJリーグの勢力図が大きく変化した。なんとも懐かしい限りである。
(鈴木誠)