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【日本史発掘】とんちの「一休さん」には遊女の弟子がいた!決め手は「俳句のやりとり」

 あの一休さんに、遊女の弟子がいたことをご存知だろうか。NHK大河ドラマ「べらぼう」で小芝風花演じる5代目・瀬川は有名な吉原の花魁だが、室町時代に地獄太夫と名乗る伝説の遊女がいた。地獄変相を描いた打ち掛けを羽織り、念仏を唱えながら客を迎えていたという。武士である梅津嘉門景春の娘で、幼名を乙星(おとぼし)という。

 ある時、如意山中で賊に襲われたが、あまりの美貌ゆえに泉州堺(現・大阪府堺市)高須町の遊里に売られ、珠名長者に抱えられた。乙星はこの運命を、前世での修行を怠ったためだと考えて自ら「地獄太夫」と名乗り、いつしか一休禅師の教えを請うことになった。

 地獄太夫は江戸時代に刊行された、一休禅師の逸話集「一休関東噺」の下巻ににある「第七堺の浦にて遊女と歌問答の事」に登場する。きっかけは一休禅師が堺を訪れた際、その姿を見かけた地獄太夫が「山居せば深山の奥に住めよかしここは浮世のさかい近きに」との歌を贈ったことだった。出家して俗世とは無縁のはずのあなたが山の寺ではなく、こんなところで何をしているんですか…という意味の句で、一休禅師は「一休が身をば身ほどに思わねば市も山家も同じ住処よ」(一休はこの身を何とも思わない。町中も山中のどこにいようと同じ)と返した。

 一休は禅僧だが、肉食し、酒も女遊びも好んだ人物だ。この句に興味を持ち、会いに出かけると、やはりあまりの美貌に「聞きしより見て恐ろしき地獄かな」(実際に見ると聞いていたより美しい」と口説いたらしい。対して、地獄太夫は「しにくるひとのおちざるはなし」、つまり見に来たものは地獄に落ちる、みんなが虜になるから気を付けなさい、と返答した。これを境に2人は打ち解け、師弟関係を結ぶようになった。

 地獄太夫は「我死なば焼くな埋むな野に捨てて飢えたる犬の腹をこやせよ」という辞世を遺して早世したが、最期を看取った一休が泉州八木郷の久米田寺に塚を建て供養した、との説があるほどだ。

 絶世の美女である伝説の遊女が、とんち話で知られる一休さんの弟子だったとは、実に興味深いことである。

(道嶋慶)

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