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記事全文を読む→「昭和」を売りにするテレビ業界が完全スルーした「気仙沼ちゃん」の「エモさ」
テレビはもうやることがないのか、昭和ブームといいつつ、昔のVTRでお茶を濁す番組がいかに多いことか。64年間も続いた「昭和」の文化やエンターテインメントの、時に無軌道なほど享楽的だった側面ばかりをことさらに強調し、現在の「令和」と対比する構図。もう飽き飽きだ。
私のような猜疑心の塊のような人間からすると「『昭和』がZ世代にウケている」と聞くたびに「本当か。オッサンたちが『そう言っとけば売れるだろ』と勝手に謳っているだけじゃないのか」と勘繰ってしまう。そもそも人気の理由を、なんでもかんでも「エモい」のひと言で済ませてしまうのも腹が立つというものだ。
などということを言ってみたが、先日、ちょっと「エモい」体験をした。
それは5月14日放送「世界くらべてみたら」(TBS系)の企画のひとつ「ソウルフード対決」でのこと。
「福岡vs愛知vs宮城!本当に地元の名物を食べてるのは?」をテーマに、それぞれの県の名物料理(菓子)を4つセレクトして「直近で食べたのはどれか」を、各県の街中でインタビューするものだった。宮城をレポートしたのは「耳がでっかくなっちゃった」のマジックで一世を風靡したマジシャンのマギー審司である。
レポートの途中、マギー審司の出身地である気仙沼のとある旅館で女将さんにインタビューをしたのだが、登場した女将さんの顔になぜか見覚えがあったのだ。「THE漁港のおばあさん」といった雰囲気のプロトタイプ的なお顔だからそう感じただけかも、とも思いつつも「はて? この顔…」と記憶をたどって思い出した。「気仙沼ちゃん」だ!
ところが番組側はそのことにいっさい触れないまま、進行していく。結局、マギー審司もスタジオの狩野英孝と大友康平(どちらも宮城出身)も気付いた様子はなく、モヤモヤを残したまま、コーナーは終了した。
どうやら同じように思ったのは私だけでないようで、SNSに「あれは気仙沼ちゃんだ」「なぜ気付かない?」といった投稿を見かけた。
おまけにマギー審司のインスタグラムには「僕ら世代なら知ってると思います」「気仙沼ちゃん」のコメントともに、ツーショットで微笑む写真がアップされている。やっぱり「気仙沼ちゃん」だったことがわかり…ということは、番組側があえて触れなかったのか、若いスタッフたちが知らなかったのかと推測される。
もっとも、1977年から1978年にかけてという短い期間に「欽ちゃんのドンとやってみよう!」に出演し、その後は一般人として生活しておられるとのことだから、ご本人が当時のことを触れないように依頼したのかもしれないが…。
いや、そもそも「気仙沼ちゃん」と言われたところでピクリともしない若年層(中年も怪しいかも)のために、わざわざVTRを別途用意する手間を、番組側が面倒に思ったのかもしれない。
とはいえ、「昭和ブーム」を標榜するなら、昭和のテレビから生まれた人気者くらいは押さえておいてほしいものだ。
実際のところはわからないが、あの頃と変わらぬ素朴な笑顔とお元気そうな姿を久しぶりに見られて、「エモい」気分になった。
(堀江南/テレビソムリエ)
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