今季、千葉ロッテはソフトバンクや日本ハムとの優勝争いを宣言し、「自他共に認める令和の常勝軍団」を標榜するスローガン「Vision2025」を掲げたはずだった。ところが4月26日以降は3勝12敗と大きく負け越し、ファンの期待は裏切られる一方だ。
開幕当初は先発陣が連続クオリティスタートを記録していたものの、ここにきて制球を乱し、打線は拙攻続き、そして拙守が目立つ。5月3日のソフトバンク戦、西武との連戦(9~11日)、そして14日の楽天戦と、いずれも完封負けを喫して完全に失速した。
5月15日の楽天戦では5-2でなんとか6連敗を阻止したが、その勝利も安心とは程遠い内容だった。しかも16日からは現在リーグ首位の日本ハム、2位オリックスと難敵が続き、チーム全体の底上げにはなお時間と策が求められるのが現状である。
そんな体たらくに、「しらけムード」の象徴となっているのが、公式チケットリセールサイトでの「投げ売り」だ。外野応援席がワンコイン500円で出品され、手数料を差し引くと、実入りはわずか203円。不甲斐ない試合を見るくらいなら、数百円でも金に換えたいということだろう。「チームに愛想を尽かした」という理由でチケットを放出するファンも現れており、かつての熱狂的な応援ムードはすっかり影を潜めている。
この光景は、2022年に開幕17試合で1勝15敗1分けという歴史的泥沼に沈みながらも、甲子園を満員にした阪神の熱狂と対照的だ。当時の阪神ファンは成績を度外視して声援を送り続けたが、ロッテでは「結果が出ないなら球場にはもう来ない」という空気が漂う。
野球評論家の高木豊氏は、次のように提言している。
「友杉篤輝が今、いちばん打っているのに、ずっと8番か9番。上位に上げたほうがいい」
チーム唯一の3割打者の起用見直しを訴えたのだ。浮上への最短ルートはやはり「結果を出す」ことに尽きる。まずは週末の日本ハム3連戦で反撃の狼煙を上げ、マリンスタジアムに熱気を取り戻せるか。
(ケン高田)