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映画「新幹線大爆破」舞台はなぜ東海道新幹線を避けたのか「2社の不仲」深刻事情

 Netflixが独占配信中の映画「新幹線大爆破」が、世界的なヒットとなっている。日本では映画ランキング1位に輝き、80カ国以上の国でトップ10入り。世界の映画ランキングでも2位になる快挙だ。

 これは1975年の同名映画を元に作られたリブート作品。JR東日本の協力が得られたことで、舞台が東海道新幹線から東北新幹線に変わり、東京発ではなく青森発東京行きの列車になった。それに合わせてストーリーや救出の方法が一部、新しくなっている。

 特筆すべきは、東北新幹線と東海道新幹線の線路を東京駅でつなぎ、東京駅からそのまま東海道新幹線へと通す作戦だ。時速100キロ以下になると爆発する爆弾を仕掛けられた新幹線を、鹿児島中央駅まで走らせ続けることで時間稼ぎをしようというのである。

 この作戦は中止が言い渡され、人口が密集していない大宮以北で最終的な対応が取られることになる。ではなぜ、中止になったのか。

 劇中ではJR東日本が管轄するエリア内で決着をつけようとしたのと、国土交通省の認可が得られなかったからだと説明された。しかし鉄道ファンの間では、そうするしかなかった現実的な問題があると、もっぱらなのだ。鉄道ライターの解説を聞こう。

「オリジナル版は、模倣犯が出ることを恐れた国鉄の協力が得られず、駅のシーンなどは盗み撮りになりました。リブート版はJR東日本が全面協力して、駅構内や新幹線車内で撮影が行われています。しかしJR東海の協力は得られなかったので、東海道新幹線へとつなげる描写はできない。では許可を取ればいいじゃないか、というが、そんなに簡単ではありません。JR東日本とJR東海は犬猿の仲で知られており、JR東日本が全面協力した映画に、JR東海も協力することなど絶対にないのです」

 もし仮にJR東海の許可が下りたとしても、東海道新幹線を通して鹿児島中央駅まで走ることはできないのだと、この鉄道ライターは指摘する。

「電気は東日本と西日本で周波数が異なり、家電製品の中には違う周波数では使えないものがあります。新幹線も同じで、東北新幹線は50Hz、東海道新幹線は60Hzなので、映画で爆弾を仕掛けられたE5系は、東海道新幹線を走ることはできない。なんとかして走らせることができたとしても、東海道新幹線は超過密状態で線路上に多くの車両があるので、それらを避けながら時速100キロ以上で走行を続けることは難しい」

 これらの事情と仕組みを知った上で見ると、より楽しめることだろう。

(海野久泰)

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