これまで何度もニュース報道されるトラブルを起こしてきた「撮り鉄」が、またしても問題を起こすのではないかと懸念されている。6月28日、豪華寝台列車として活躍した「カシオペア」がラストランを行うからだ。
カシオペアは2016年3月に運行を終了し、その後は「カシオペアクルーズ」や「カシオペア紀行」というクルーズトレインとして運行されてきた。しかしそれも、6月28日を最後に引退となる。ラストランには最後の姿を写真に収めようと、多くの撮り鉄が集まるのが通例だ。
「カシオペア紀行」は5月31日に上野と秋田の間を往復し、6月14日に上野と仙台を往復しているが、この時、多くの撮り鉄が集まった。どちらも撮影した鉄道ライターが、現場の様子を語る。
「秋田往復のカシオペアは下りを秋田駅近くで、上りは南鳥海駅と本楯駅の間で撮影しましたが、どちらも多くの撮り鉄がいました。特に復路は鳥海山をバックに撮れる有名なポイントだったので、17時頃の通過にもかかわらず午前中から多くの撮り鉄が集結。最終的に300人はいましたね。この日は月曜日だったんですが、みな仕事は大丈夫なのか、と思いましたよ。仙台往復は上りを東大宮と蓮田の間にある有名な撮影地、通称『ヒガハス』で撮りました。こちらも平日にもかかわらず、300人はいたと思います。大きなトラブルはありませんでしたが、秋田の往路の撮影地では、車の駐車位置をめぐって軽く揉めていました」
カシオペアのラストランには、これ以上の人が集まることが予想される。トラブルが起こる可能性は高まるだろう。ただ、撮り鉄が殺到するのは、これが最後になるかもしれないという。いったいなぜか。
「撮り鉄が多数集まるのは今回のようなラストランや、特別な臨時列車ですが、どちらも今後はなさそうです。ラストランを迎える車両はこれからも出てきますが、カシオペアを越える車両はありません。JR東日本が電気機関車を次々と廃車にしているので、これらを使った臨時列車も今後はない。撮り鉄がなんとしても撮りたいと思う列車がないんですよ。人が集まったとしても、プチフィーバーに終わるでしょう」(前出・鉄道ライター)
「引退」する撮り鉄がたくさん出るかもしれない。トラブルがなくなるなら、それも歓迎か。
(海野久泰)