前編で書いたように、ハライチの澤部佑は「個室ビデオ」のヘビー愛用者だ。オードリーの若林正恭が澤部から聞き出したところによると、個室ビデオを使いこなす上での注意事項がいくつかあるという。
このサブスク全盛の時代に、いまだにDVDをラックから選ぶシステムがメイン。選んでいたら思いのほか長い時間が経過し、滞在時間をついついロスしてしまいがちになる。
しかし澤部は時短のために、
「僕は絶対に選ぶ作品が5作、もう決まってるんです」
と言うのだ。つまりもう何年も、同じ作品しか選んでいないのだと。
「そんな選ぶ時間ないっすよ。早く入りたいから。シリーズで絞ってから入んないと」
とはいえ、個室内では自慰に耽ってばかりではないようで、
「いやぁ、『ミヤネ屋』を見たりしてますね」
個室ビデオの中で、澤部は芸能界から離れた、埼玉県・原市(出身地)の澤部に戻っている。若林が、
「個室ビデオ、今から2カ月禁止って言ったら壊れちゃう?」と聞いたところ、
「いや、壊れちゃうかもしれないですね。想像したくない」
ちなみに、同じくユーザーのオードリー・春日俊彰も、
「まず、シリーズの棚に行くよね。で、パパッと選んで、あとはその時の気分とか、3日後の自分のテンションはどういうことになってるか、とか。アフリカ行った時のテンションどうなってるかとか、飛行機乗ってる時のテンションどうなのかと。未来の自分も想像して、未来の自分のために過去の、今の春日からのプレゼントを」
一方、澤部は時間をロスさせる利用客の悪癖にも触れるのだった。
「これはもう、個室ビデオにとっていちばんの悪」
そうまで言い切るのである。
個室ビデオでは、一度に借りることができるDVDの本数が決まっている。追加の作品を見つけた場合は、1本返却しなければならないルールだ。
「上限が6本だから1本返さなきゃって、これがまず面倒くさくて。どこに戻せばいいか覚えてない場合、そこらへんの空いてるケースに入れちゃう輩がいるんですよ。これもう、とんだ極悪人ですから。俺も何回かあったけど、気付かずに『これ見よう』ってやったら、変な違うの入ってる、みたいな」
澤部は本気で悔しがるのだった。
(坂下ブーラン)
1969年生まれのテレビディレクター。東京都出身。専門学校卒業後、長寿バラエティー番組のADを経て、高視聴率ドキュメントバラエティーの演出を担当。そのほか深夜番組、BS番組の企画制作などなど。現在、某アイドルグループのYouTube動画を制作、視聴回数の爆発を目指して奮闘中。