6月22日に投開票された東京都議選は自民党の歴史的大敗に終わったが、党内では「30議席以上を獲得できる」との「情勢調査」(5月16日~18日、サンプル1000以上)が油断を招いたのではないか、との指摘がある。
永田町に出回った「情勢調査」では、自民党の議席は34で、非公認となった無所属候補を合わせると、38議席を獲得できるとなっていた。このほか、公明党17、都民ファーストの会15、共産党19、立憲民主党17、日本維新の会0、国民民主党9などとなっている。「情勢調査」と大きく違っているのは自民党と都民ファーストの会で、後者は31議席を獲得した。
政治ジャーナリストの田﨑史郎氏は6月23日の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)で、こう分析した。
「この結果で分かったことは、自民党は弱いということ。野党が結束すれば勝てる環境なんだってことは、野党各党が気付いただろうと思う」
「情勢調査」は野党にも事前に流れており、自民党は底堅いとの印象が広がった。しかも小泉進次郎氏が農水相に就任した5月21日以降、石破茂内閣の支持率は上昇に転じたため、「小泉効果」は都議選までもつのではないか、との見方は強かった。ところが今回の大敗で、小泉氏の神通力が効かなかったことが露呈した。
そこで浮上するのが、自民党サイドの「印象操作」だ。ある野党幹部がボヤく。
「自民党の選対が数字をいじったニセモノに、まんまと騙された。彼らは大敗するとわかっていたが、それがバレると立憲民主党の野田佳彦代表はチャンスとばかりに、内閣不信任案を提出しただろう。不信任案が可決すれば、都議選、参院選ともに自民党は敗北する。それを防ぐ狙いもあったのではないか。本来、流出するはずのない、マル秘とされる資料が出回った時点で、疑うべきだった」
もっとも、「情勢調査」は不信任案を防いだかもしれないが、結果的には自民党の緩みを招き、野党に勢いを与えてしまったことは間違いない。資料をリークした当事者の意図とは別に、自民党を苦境に陥れてしまったようだ。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)