時代に逆行する投手の宿命なのかもしれないが、「貫いてくれ!」と思っているファンは少なくないはずだ。
中日・井上一樹監督がドラフト1位ルーキー・金丸夢斗を7月以降、「中6日」の通常間隔に挑戦させると明かした。
金丸は大学4年生時、腰痛を患ってリリーフに回ることが多かった。それでも昨秋ドラフト会議では4球団競合となったことからも分かる通り、将来性や素質を見込まれている。登板間隔を空け、慎重に扱ってきた井上監督の起用法は間違っていない。
中6日となれば、必然的に登板機会は増える。この「登板増」が、どんなスタイルの投手に育っていくのかを決めそうだ。
6月13日の西武戦で6回1/3を投げて、1失点。その前の6月5日のソフトバンク戦では6回4失点だった。金丸自身が語っているが、ソフトバンク戦で見破られたクセを、西武戦では逆手に取って投げたという。
金丸はクセを見破られやすい投手なのだ。ワインドアップで投法は近年の傾向だが、高校野球ではイニングの頭からセットポジションで投げる投手が増えてきた。
投球動作が小さくなれば、球種を見破られるリスクは減る。しかし、金丸は違う。両腕を胸の高さまで上げるノーワインドアップ投手は残っているが、金丸は頭の上まで振りかぶるワインドアップ投法。投球モーションが大きくなる分、相手はクセを見破りやすくなる。
「高校時代は無名に近かった金丸が関西大学でブレイクしたのは、ワインドアップ投法に変えたからです。ボールに威力が増しました」(在阪球団スカウト)
デメリットは理解していたが、ボールの威力が増すメリットを選択。このスタイルを、プロ入り後も貫いている。
これからあの西武戦のように、微調整を続けていくのだろうか。オールドスタイルのワインドアップ投法はロマンだ。ここまで5試合に登板して0勝2敗。「中6日」の先発起用で、まずはプロ初勝利を目指すことになる。
(飯山満/スポーツライター)