米トランプ政権が国・地域別に課す相互関税の「上乗せ部分」の適用停止を決める期限が7月9日に迫る中、高関税措置の見直しを求めて、赤沢亮正経済再生担当相が6月26日にも訪米する。日米交渉担当閣僚としての赤沢氏の訪米は4月以降、実に7回目となる。だがここにきて、米政府内では石破茂政権を見限る動きが見られるのだ。米政府関係者が語る。
「トランプ大統領がイラン問題で手一杯なのに関税、関税しか関心がない石破政権はいったい何なんだ、という声が出ています」
トランプ大統領と石破首相は、先進7カ国首脳会議(G7サミット)が行われたカナダ西部カナナスキスで6月16日午後(日本時間17日早朝)、約30分間の会談を行ったが、中東問題は全く話題とならなかった。産経新聞は社説で「日本外交の劣化に落胆の思いを禁じ得ない」と批判している。もちろんトランプ大統領は石破首相に、イランを攻撃することは事前に伝えなかった。
石破首相は米軍によるイラン攻撃の賛否を明らかにせず、6月23日の記者会見でも「事態の早期沈静化を求めつつ、イランの核兵器保有を阻止するという決意を示したものだ」との認識を示すにとどまった。攻撃の妥当性を問われても「詳細な事実関係を正確に把握できる立場になく、確定的な法的評価をすることは困難」と述べただけだ。
これではトランプ政権が石破首相を信頼するはずがない。前出の米政府関係者は、
「7月の参院選で大敗し、退陣するかもしれない石破政権とこれ以上、交渉する意味があるのか、という声すら出ています」
赤沢氏は6月23日、日本製鉄の橋本英二会長らと面会し、米鉄鋼大手USスチールの完全子会社化について説明を受けた際、
「(日鉄の)大成功の勢いを少しでも頂いて、政府も関税交渉をしっかりやっていきたい」
と語った。もっとも、日本製鉄としては赤沢氏ら日本政府の関税交渉と切り離したのが成功の秘訣、と言いたかったことだろう。
(喜多長夫/政治ジャーナリスト)