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記事全文を読む→プロ野球「オンオフ秘録遺産」90年〈西武の10連覇を阻んだ近鉄ブライアントの4連発!〉
近鉄バファローズの悲願を乗せた打球が右翼席、それも上段に飛んで行く。
先頭打者のラルフ・ブライアントは、行方を確認すると両手を高々と掲げた。マウンドでは渡辺久信が膝をついていた。
元号が昭和から平成に変わった1989年10月12日、西武球場での西武対近鉄のダブルヘッダー第1試合の24回戦、8回だった。
ビッグヒーローのこの日3本目となる本塁打は、奇跡を呼ぶ決勝打となった。
近 0 0 0 1 0 4 0 1 0=6
西 1 3 0 0 1 0 0 0 0=5
同年、プロ野球はオリックスとダイエー(現ソフトバンク)がそれぞれ関西の電鉄会社の阪急と南海から球団を買収して、新球団としてスタートを切った。
パ・リーグのペナントレースは稀に見る大混戦となった。絶対的な覇者、森祇晶率いる西武は出遅れたものの、終盤には5連覇を目指して抜け出していた。
仰木彬の近鉄と上田利治の新生・オリックスが追いかけた。
2位の近鉄は首位・西武とは1ゲーム差、12日のダブルヘッダーは、1勝1敗で西武の優勝が決まる。近鉄は連勝するしかない。
近鉄ナインの89年の合言葉は「絶対に優勝する」だった。
前年の88年、パ・リーグの優勝争いは最終日までもつれた。すでに西武は全日程を終了し、首位に立っていた。
追いかける近鉄は10月19日、川崎球場でのロッテとのダブルヘッダーに連勝するしかなかった。
第1試合で逆転勝ちを収めて、第2試合に望みを託した。しかし、試合時間4時間制限のルールに敗れ、無情の引き分けで天を仰いだ。いまだに語り継がれる「涙の10.19」。優勝した西武とはわずか2厘差だった。
89年、近鉄はわずかな望みをかけて敵地に乗り込んだ。振り返ると、11日は雨天中止となり、なんの因果か、12日に前年同様のダブルヘッダーとなったのである。
苦しい展開となった。先発の高柳出己が辻発彦に3号3ランを浴びるなど、2回途中4失点でKOされた。
だが、ブライアントが4回、郭泰源から46号ソロで追撃の狼煙を上げ、6回には無死満塁から同点のグランドスラムを右中間席に運んだ。
そして8回の決勝弾、3打数連続本塁打で近鉄は息を吹き返した。
名将・森は常に最悪の事態を想定する。石橋を叩いてやっと渡る。だからこそ、渡辺をマウンドに送ったのだ。
この年、ブライアントは渡辺に対し18打数4安打の打率2割2分2厘、7三振、おまけに本塁打はゼロだった。
しかし、ここぞの場面で天敵が1-2から投じた、内角速球を見事に捉えた。
「グレートだ。自分でも3本打つなんて信じられない。真っすぐだったが、ヤマは張っていない。ストライクを打つだけだ」
1試合で連続3本塁打は通算6度目、これで王貞治のプロ野球記録を抜いた。
ブライアントは88年、中日のファームから獲得した無名の元大リーガーだった。185センチ、94キロ、右投げ左打ちの外野手だ。夢を抱いて来日したが、1軍での出番はなく「第三の外国人」と呼ばれていた。
同年は仰木体制の1年目で、いわゆる「マジック」を駆使して西武の知将・森に対抗していた。
事件が起こった。不動の4番打者・リチャード・デービスが6月7日、「大麻取締法違反」で現行犯逮捕された。即解雇だ。
仰木は5月、誰もいない西宮球場でブライアントを見て一目ぼれしていた。
実際、ブライアントは5月にウエスタン・リーグで4試合連続本塁打のリーグタイ記録を作っていた。
それでも1軍からお呼びがかからない。中日はゲーリー・レーシッチ、郭泰源が安定した働きをしていた。
当時、外国人選手の支配下登録は3人で、1軍出場登録は2人だった。
転機が訪れた。仰木の要望を受けて、近鉄が中日にトレードを申し込んだのである。当初は交換トレードだったが、最後は金銭に落ち着いた。
近鉄がチャンスを与えた格好になったが、スタート台に立てなかった男は大活躍した。74試合で34本塁打を放った。
一発か三振かの粗さはあったが、すさまじいパワーがあり、実力を開花させる土台を備えていた。磨きを掛けたのは、打撃コーチの中西太だった。
「ボール球を振るな。日本人投手はボール球で誘ってくる。いい球は必ず来る。それまで待つんだ。我慢だ」
第2試合、近鉄打線大爆発の導火線となったのは、やはりブライアントだった。
近 2 0 4 3 3 0 1 1 0=14
西 2 0 0 0 0 0 0 2 0=4
第1打席は敬遠され、第2打席は同点の3回だった。勝負を挑んだ高山郁夫から中堅左へ49号ソロを叩き込んだ。4連発だ。
これを機に近鉄打線は15安打、14得点の猛攻で連勝して首位に浮上。優勝マジックを2とした。西武は3位に転落した。Ⅴへの流れは近鉄だった。
「非常にいい仕事ができた。とにかく優勝したい」
前年の敵役・ロッテが13日にオリックスに勝ち、マジックは1となり、翌14日にダイエーを破って仰木が7度宙に舞った。9年ぶり3度目のリーグ制覇だった。
仮の話になる。西武は89年の前後に4連覇と5連覇を達成している。
もし西武が優勝していたら、あの巨人ができなかったリーグ10連覇を成し遂げていたかもしれない。
それを阻止した、B砲の歴史的4連発と言ってもいいだろう。
(敬称略)
猪狩雷太(いかり・らいた)スポーツライター。スポーツ紙のプロ野球担当記者、デスクなどを通して約40年、取材と執筆に携わる。野球界の裏側を描いた著書あり
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