エンタメ
Posted on 2025年09月07日 12:00

江戸時代の「大盗賊団の首領」真刀徳次郎は東北から関東一円を荒らしまくったのに「みずぼらしい姿」で捕まったのはなぜか

2025年09月07日 12:00

 市中引き回しの上、獄門、さらし首になる前、あの鬼平から死に装束を買ってもらった大盗賊がいる。
 江戸時代、数十人の手下を引き連れて、現在の東北地方から関東一円まで広域を荒らしまくり、その数は数百件を超えた。この盗賊団の首領こそが真刀徳次郎、またの名を神稲小僧という。

 徳次郎は上野の出身で、神道流の使い手であり、強盗団は悪の限りを尽くした。町家だけでなく、農家や寺にまで押し入り、金品を強奪する広域犯罪集団である。この時代でも現在の警察のように管轄があり、江戸ならば江戸町奉行所、天領なら代官所などが犯罪を取り締まる。
 しかし、あまりにも犯罪が広域に及んだため、徳次郎たちの取り締まりを任されたのが、鬼平こと長谷川平蔵を頭とする火付盗賊改方だった。

「幕府時代届申渡抄録」によると、徳次郎たちは「道中御用」という絵符を立てて帯刀した幕府役人に変装し、強盗に入ったり移動したり。そのため足取りはなかなか掴めなかったが、寛永元年(1789年)、埼玉・大宮の四恩寺にある閻魔堂に潜んでいたところを、一網打尽にされた。

 かなりの金品を奪ったはずだったが、酒や女、博打に散財してしまい、捕まった際は、みずぼらしい格好だったという。10両盗めば首が飛ぶ、死罪になる時代である。当然、徳次郎も死罪になると決まっていたが、その前に牢に入れられ、取り調べがある。

 仮にも大盗賊団の首領である。みずぼらしい姿で牢屋に入ることを哀れに感じたのだろう。平蔵は、3両の自腹を切って、衣服を整えさせたという。

 徳次郎の獄門首は3日間、大宮宿で晒されたが、実は「江戸に送られて鈴ヶ森で処刑された」との説もある。享年29。
 なお、徳次郎を捕縛した平蔵の名は、これで世間に広まったというから、3両は無駄ではなかったかもしれない。

(道嶋慶)

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月23日 05:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月18日 05:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月25日 05:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/9/2発売
    ■620円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク