政治
Posted on 2025年10月04日 18:01

中川淳一郎「参政党は何でオレなんかに立候補を打診してきたのかね?」(2)あなただったら勝てると言われ

2025年10月04日 18:01

 そこまで脅威となった参政党だが、同党から私へのアプローチを振り返る。私自身はマスクを中心としたコロナの感染対策もワクチンもこの程度のウイルスには不要、と2020年から主張し続け、常に批判を浴び続けた人間だ。

 2024年12月、とある佐賀県内の有力者から「参政の佐賀県連の代表があなたと会いたがっている。電話番号を教えても良いか?」と連絡が来た。私自身、仕事には必ず乗ることにしているので、「どうぞ」と伝えた。

 すぐに代表から電話が来て、場所と時間を指定するよう言われた。私は人と会う時は酒を飲むので、昼間から開いている唐津の飲み屋で会うことに。そこには彼と某県の女性県議とその参謀的立場の人物の3人がいた。この時は、翌月に控えた私の住む唐津市長選・市議選、さらには7月の参議院選において、選挙の参謀をしてもらえませんか?というオファーだと思っていた。

 私自身、ネット選挙においては某巨大政党の参謀をした経験があり、「中川さんのお陰で2議席多く取れた」と感謝された過去がある。支持政党はないため、仕事としてであれば受けようと思っていた。やろうと思えば、ネット上に参政党のポジティブ情報を出しまくる自信はあった。しかし、オファーは意外過ぎるものだった。

「来月の唐津市議選、参政党から出ませんか?」

 唐津市といえば、佐賀県ではナンバー2の都市であり、近くに玄海原発も抱え、佐賀県にとっては観光も含め重要な市である。

「この前の衆院選で参政党は唐津で3000票取りました。我々が中川さんを公認したら確実に当選します」

 私はこれまで参政党については、新興のよく分からない政党だと思っていたのだが、選挙情勢における分析が的確であることを理解した。私に声をかけてきたのは新型コロナ対策への懐疑心を常に表明していたこととSNSの拡散力・さらには多数のメディア連載を抱えているからだろう。色々な候補がいた上で私を選び、「あなただったら勝てる!」とまで言ってきた。ちなみに、この時私は生ビールを飲んでいたが、参政党の3人は運転のこともあり烏龍茶を飲み、鶏の唐揚げと私が勧めた「ワインサバ塩焼き」を食べた。2台の車で来ているのだから1人は飲めるだろうに、酒を断るマジメさがあった。

 この時、正直ゾーッとした。「どれだけこの人達、公認する候補者を調べているんだ‥‥」と。それだけ選挙戦略に長けたブレーンが中にいるのに加え、3人で来て説得するという手法を使うのには正直「たいしたもんだ」と思った。目の前の女性県議は常に私の発言をメモし、私に目を合わせ「私は勉強をしています」的な姿勢を見せる。しかも、3人の目は真剣だ。我々が九州で躍進するには、唐津市にも発信力のある議員が必要である! という気迫は常に感じ続けた。

 だが、私自身、「こうやって昼間から飲んでいることや、コロナ対策に批判的なことで市役所にクレームつけられたら迷惑なので私は出馬しません」と逃げた。その点において、彼らが「思想は我々寄りでSNSでの発信力はあるが、議員という職業が向いていない男に目を付けた」というのは判断ミスだろう。少し残念そうな顔をしたが、その後は「交渉決裂」ながら楽しく私はビールを飲み、彼ら3人は楽しく烏龍茶とツマミで小宴会となった。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)1973年生まれ。大手広告代理店勤務、『TV Bros.』編集者などを経て『NEWSポストセブン』立ち上げに携わる。近刊に『日本をダサくした「空気」 怒りと希望の日本人論』(徳間書店)。

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