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記事全文を読む→奇跡の脱北起業家〈第6回〉なぜ彼女は「平壌冷麺」と海を渡ったのか(2)チマ・チョゴリの「神通力」
翌日も雨はやまない。鴨緑江の水かさは増しているに違いない。ここまできていながら、渡れないかもしれない。いや、悪天候だから監視は緩いはず。うまくいくに決まっている。あれこれ想像をめぐらせているうち、ヨンヒは寝つけなくなったが、どこか安心している自分がいた。
「たぶん背中の布が守ってくれているって信じていたからでしょうね。私が1歳になったとき、朝鮮の伝統、トルチャンチというお祝いの会があり、その席で着たかわいいチマ・チョゴリを自宅にしまってあったんです。ママはこっそり相談した知り合いの占い師のお告げに従い、そのチマ(スカート)を小さく切り取り、私のジャンバーの裏側に縫い付けてくれた。これ、お守りだからって」
そういえば、世界中で大ヒットした韓国ドラマ「愛の不時着」にも人気お笑い芸人、キム・スク演じる北朝鮮のムーダン(巫女)が登場し、神のお告げを伝えるシーンがあった。社会主義国で宗教を否定していながら、占いなど迷信行為は民衆の間でしぶとく生きているのだ。ヨンヒの母、崔順玉が頼った占い師はリ・スネといった。
「元山にいたとき、近くのマンションに住んでいたんです。みんなスネオンマ(スネかあさん)と呼んでね。一見、普通のおばさんですが、腕に木の数珠をはめ、占うときは顔を真っ赤にし、汗をたらたら流すんですよ。よく当たると評判で、私の弟が生まれてすぐ原因不明の重い病気になったときも、スネオンマが大丈夫、治るから、とぴたり予言してくれました」
ところが、その占い師が突如、元山から消える。
「1997年ごろでした。どこへ行ったかだれもわからない。5年ほどたって、スネオンマからママに電話がかかってきた。元山に行くから会いたい、と。ベンツでやってきた。ボディーガードが4人も付いて。平壌に召喚され、1号占い師になっていたんです。金ファミリーお抱えの占い師、平壌の万景台区域に住んでいると聞きました。金正日が現地指導に行く地域の天気を予知したり、金剛山や妙香山にこもって金ファミリーの心配事を占ったりもしたそうです」
元山から消えたのは餓死者があふれた「苦難の行軍」の時期と重なる。
そんなVIPになったリ・スネとヨンヒの母は平壌に移ってからも連絡をとりあっていた。姉妹のような付き合いで、オンニ(姉さん)と慕った。迷信とわかっていても占いにすがりたくなる。いくら経営する食堂が軌道に乗っていたとはいえ、商売は水物、しかも将来が見通せない社会だから、なおさら。娘が脱北を決意したときも真っ先に足を運んだ。
「オンニ、何も聞かないで。娘がどこかへ行くんだけど、障害物がないよう、道を開いてほしいの、祈って、と。300ドルあげたらしいです。その答えがチマ・チョゴリ」
鈴木琢磨(すずき・たくま)ジャーナリスト。毎日新聞客員編集委員。テレビ・コメンテーター。1959年、滋賀県生まれ。大阪外国語大学朝鮮語学科卒。礒𥔎敦仁編著「北朝鮮を解剖する」(慶應義塾大学出版会)で金正恩小説を論じている。金正日の料理人だった藤本健二著「引き裂かれた約束」(講談社)の聞き手もつとめた。
写真/初沢亜利
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