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記事全文を読む→奇跡の脱北起業家〈第8回〉なぜ彼女は「平壌冷麺」と海を渡ったのか(2)平壌冷麺「女三代の味」で勝負
「ママは元看護師でもあったので介護の仕事をやると言い出したんですが、私は飲食店をやろうと決めていました。ソウルは空前のカフェブームでした。迷いましたが、私たちの強みは平壌からきたこと。なら、平壌冷麺しかない。日本にいる親戚もバックアップしてくれることになって」
さっそく母と2人、平壌冷麺ツアーに出た。まる1年、ソウルの老舗はむろん、地方へも足を延ばした。
「でも、出会えなかったの。私が幼いころから食べていた冷麺に」
ひとつ気がかりがあった。ヨンヒも母も料理自慢の祖母から受け継いだ女三代の味で勝負するつもりでいた。済州島の海女だった姜道子のことだ。だが、脱北に失敗してから要注意者となり、まだ海州にとどまっていた。
「そもそも私が脱北を決意したのもおばあちゃんがいたから。チャンスを待ち、必ずソウルに呼ぶつもりでした。10月に入って監視が緩くなったとの知らせが入り、ママが脱北の段取りをはじめます。ところが、いよいよ明日という夜に亡くなってしまう。もともと高血圧で、故郷に帰れるという興奮のあまり倒れたようです。ショックでママも私も毎日、泣き続けていましたが、きっと星になって私たちを見守り、応援してくれているに違いないと思い直したんです」
悲しみを力に変え、ヨンヒは走りだす。ここでまた奇跡の扉が開く。冷麺屋をやるにも食材の調達などわからないことだらけ。教会の紹介で相談に足を運んだ焼き肉屋のオーナーが日本人だった。
「おじさんだと思っていたら、若くて、ハンサム。とても親切にしてくれて。ハート、びゅんびゅん飛ばしちゃった(笑)。うふふ」
その彼が夫となる勝又成。
「ヨンヒが言うんです。世界中に飲食店を100つくりたいって。夢でっかいなって気に入った。脱北者だと打ち明けられたときは、さすがにオーッって。でも、それがどうしたって感じかな。築地で仲卸の仕事をしていたぼくだって、イケイケドンドン人生、不思議な縁でカナダを経て韓国にいたんですからね」
2人は付き合ってわずか100日でゴールイン。成は義母から平壌の味を学んだ。弟は英語のスキルアップのためフィリピンに留学した。
成功する秘訣は味だけではない。立地だ。
「ネットで物件を探しました。運がよくてね。おしゃれな江南エリアの瑞草区に社長が高齢のため手放そうとしている抜群の中古物件が見つかったんです。30年、地元で人気だったスケトウダラの鍋屋さん。扱っているのがタラでしょ、生臭さがこびりついているから権利金を驚くほど下げてくれ、私たちでもなんとか手が届いたんです。よし、これだ、と即決で。脱北者がいきなり江南? みんな信じてくれませんでしたが、そのギャップがよかったんです」
かくしてヨンヒ30歳の誕生日、2019年4月29日に「ソルヌン」1号店がオープンする。タラ鍋屋は彼女のセンスで白を基調としたモダンな店舗に生まれ変わった。各テーブルに小さな花瓶を置き、季節の花をさした。ソウルの言葉を学ぶため、スピーチ教室にも通った。風変わりな屋号「ソルヌン」の誕生はこうだ。
「正月の雪っていう意味です。平壌で有名だった体育省傘下の食堂と同じ『金カップ』にしようか、ママの食堂をやっていた平壌の地名にちなんだ『牡丹』にしようか、名勝地・金剛山にある奇岩で知られる叢石亭にしようかとか。調べたら、どれも登録済み。悩んでいるとき、偶然、ユーチューブで北朝鮮の正月公演を見たら、懐かしい歌が流れてきたんです。それが『ソルヌンよ 降れ』。♪ポンポンネリョラーって私もよく歌ったんですよ」
客の出足はすこぶるよかった。オープンする1カ月前、ひとりの男がふらり試食に訪れた。脱北者でもある東亜日報のチュ・ソンハ記者だった。
「著名な記者だとは知らなかったんですが、〈ソウルに真の平壌冷麺屋がやってきた〉って書いてくれて。彼のコラムのおかげで問い合わせが殺到し、あわててスタッフを増員しました」
あたりは大法院(最高裁判所)などが建ち並ぶ法曹タウン、食にうるさいリッチな美食家も多い。
「SNSで評判になり、歌手のチョー・ヨンピル、BoAら芸能人、スポーツ選手、元大統領ら政治家まできてくれました」
鈴木琢磨(すずき・たくま)ジャーナリスト。毎日新聞客員編集委員。テレビ・コメンテーター。1959年、滋賀県生まれ。大阪外国語大学朝鮮語学科卒。礒𥔎敦仁編著「北朝鮮を解剖する」(慶應義塾大学出版会)で金正恩小説を論じている。金正日の料理人だった藤本健二著「引き裂かれた約束」(講談社)の聞き手もつとめた。
写真/初沢亜利
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