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記事全文を読む→前駐豪大使・山上信吾が日本外交の舞台裏を抉る!~「外国人観光客を年間6000万人に」だって!? 日本がトラブルまみれになる「3つの原因」~
現在の私は東京、軽井沢、京都の三角形を行き来する生活を送っている。当然のことながら、交通手段は新幹線だ。東海道新幹線頼みの一本足打法ではなく、北陸新幹線と湖西線を乗り継いで京都入りするルートも確立したことは、慶賀の至りだ。
その半面、東京、名古屋、京都、金沢、長野、軽井沢といったインバウンドの観光客がひっきりなしに訪れる名所にたびたび滞在するだけに、彼らがもたらす「影響」をひしひしと肌身で感じている。
微細で犬も食わない話だろうが、問題を具体的に活写しよう。
●フルに倒したリクライニングシートを元に戻さないまま、品川駅で降車しようとした欧米人女性
●湖西線の車中で、スペイン語で自身のスマホに声を録音し続けた欧米人男性
●大原三千院の晨殿の真ん中で、大声で電話した中国系女性
●タトゥー丸出し、Tシャツ、短パンで金閣寺を闊歩する欧米人カップル
●新幹線の京都駅で、ホーム上に明示されたラインと違う場所で列車待ちをしている欧米人団体客。これらの者に限って、列車への乗り込みに時間を要する
●改札の通過方法が分からずに、他の乗客の流れを妨げるアジア系団体客
私自身は慣れない海外生活の過程で、現地の人間から注意を受ける立場に立ってきたことや、英語で話しかけることを苦としないことから、注意喚起するにやぶさかでない。だが、こんな場面に出くわした多くの日本人が感じるだろうストレスは、他人事ではない。
だからこそ、インバウンドを年間6000万人に引き上げるなどと、自民党総裁選の最中にあっけらかんと広言した政治家が信じられない。既に明らかに飽和状態に達している、としか見受けられないからだ。
先日、長野県の阿部守一知事をはじめ、長野県庁の観光関係者と意見交換をした際には「これからは量ではなく質を目指す」とうかがい、深く頷いた。
最近、電車の中で声高に動画撮影をする白人男性を注意した高齢の日本人男性が突き飛ばされる画像がSNS上で出回り、多くの心ある日本人の憤激を呼んだ。日本人がいかに辛抱強いとはいえ、このままではいつどのような形でトラブルに発展してもおかしくない状況にある。
原因は単純。日本が大概の国と異なるからだ。ニューヨーク、ワシントン、香港、ジュネーブ、ロンドン、キャンベラといった諸都市で生活してきた経験からしても、日本は良い意味で特殊である。
第一に、どこよりも清潔だ。小学校時代に教室で自ら掃除を行う習わしの国民と、ジャニター(掃除夫)任せにしてきた国民との決定的違い。ゴミは捨てずに持って帰るという風習がある国など、まずない。京都駅近くに使い古しの大型スーツケースが置き去りにされることなど、日本の辞書にはまずないのだ。
第二に、どこよりも静謐だ。ニューヨークの地下鉄でも、ロンドンの二階建てバスでも、携帯電話で会話するのは日常茶飯事。新幹線グリーン車の静けさなど、彼らには想像の域を超える世界である。
第三に、こうした日本の特性を理解し配慮できる教育・所得水準に満たない層が、円安のために続々と日本に押し寄せている現実がある。
いったい「多文化共生社会」の名の下に、この清潔と静謐を諦めるべきなのか。否! そんなことをしたら、日本が日本でなくなる。
日本には独特の言語とユニークな歴史、そして長年にわたって培ってきた文化と生活様式がある。今の日本に必要なことは、他者に迎合してそれらを曲げることでなく、「同化」を求め、維持していくことだ。それこそが日本人の矜持を保ち、インバウンドの多くが価値を認める、日本独自の良さを守っていくこととなる。
短期的なカネを追い求める余り、日本が誇る美徳、そしてそれらに支えられた日本各地の良さを失ってはならないと、切に思う。
●プロフィール
やまがみ・しんご 前駐オーストラリア特命全権大使。1961年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、84年に外務省入省。コロンビア大学大学院留学を経て、ワシントン、香港、ジュネーブで在勤。北米二課長、条約課長の後、2007年に茨城県警本部警務部長を経て、09年に在英国日本国大使館政務担当公使、日本国際問題研究所所長代行、17年に国際情報統括官、経済局長を歴任。20年に駐豪大使に就任し、23年末に退官。同志社大学特別客員教授等を務めつつ、外交評論家として活動中。著書に「中国『戦狼外交』と闘う」「日本外交の劣化:再生への道」(いずれも文藝春秋社)、「国家衰退を招いた日本外交の闇」(徳間書店)、「媚中 その驚愕の『真実』」(ワック)、「官民軍インテリジェンス」(ワニブックス)などがある。
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