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記事全文を読む→三又又三の「社長、前借りいいですか?」〈さらけ出しの話術〉
元気ですか〜!(猪木風)。還暦ブレイクを本気で狙っている三又又三(58)です。
実は僕、3年ほど前に東京農業大学(以下、東京農大)で、特別講師を務めたことがあるんです。テーマは「コミュニケーション能力の向上」。
きっかけは単独ライブの営業ですよ。ある業界人にチケットを買ってくれないかと相談に行ったら、「自分が買ってもたかが知れてるから」と、東京農大のOB会に招待されたんです。その集まりに参加すれば、まとまった枚数が捌けるかもしれない。そんな思いで現地に行くと13人ほどのOBの方たちがバーベキューで盛り上がっていたんです。でも、ただ「買ってください」じゃ誰も買ってくれませんよ。
「三又又三と申します。食べながら飲みながら聞いてください。みなさまを単独ライブにご招待したいんです。どういうライブかと言いますと、漫談です。もしこれを聞いて面白いと思ったら、どうかチケットを買ってください」
こんなあいさつから始めて、気づけば漫談を90分やってたんです(笑)
そこにいらっしゃったのが東京農大の教授。即興の独演会が終わると、僕のところに来てこう言うんです。
「私の授業で講師をしていただけませんか? 就職試験を控えている学生にしゃべる技術とコミュニケーション能力について教えてほしいんです」
え!? これまで勉強から逃げ続けてきた高卒の僕が大学の講師!?
当時はコロナ禍で、大学の授業はほとんどがリモート。他人とあまり接してこなかったので、多くの学生が、就職活動の面接試験に不安を感じているとのこと。そこで僕の話術に目が留まったわけですが、正直、この突然のオファーにはかなり戸惑いました。
この僕が超優秀な大学生に何を伝えたらいいんだろう‥‥。悩みに悩んで出した結論が「さらけ出し」だったのです。
特別講義の第1回、僕はたくさんの生徒を前にこう切り出しました。
「皆さん、はじめまして。今日から講師を務めますが、まずお伝えしたいのは、私は皆さんよりも学力が低く、漢字もろくに読めず、運転免許すらない。どうしようもない人間だということです」
自分を徹底的に下げることから始めたんです。
就職面接では、誰もが自分をよく見せようと、過去の頑張ったエピソードや立派な志望動機を語ります。でも、相手は何百人、何千人もの学生を見てきた百戦錬磨の面接官。似たような自己PRを何度も耳にしているはず。そこで僕は生徒にこう言ったんです。
「他人の自慢話なんて5分も聞いていられません。逆に大失敗した話ってなぜか笑えるんです。『自分はバカで愚かで間抜けな人間です』って明るく語ることができれば、“その他大勢”から抜け出して、強烈な印象を残せるはずです。さあ皆さん、どんどんさらけ出していきましょう」
生徒たちは最初こそ戸惑っていましたが、一人、また一人と恥ずかしい過去を語り始めたんです。
僕はMCとして盛り上げ役に徹します。ある生徒が「バイト先にいる年上の女性が好きになり‥‥」と話し始めると、「おいおい!もっと聞かせてくれよ」と合いの手を入れたりね。ぎこちない空気が徐々にほぐれて、笑いが生まれていく。生徒の声もどんどん大きくなって、自信をつけているのがわかるんです。
「私はこんなにバカなんですよ」
弱さをさらけ出していくことで、相手も「いやいや私だってこんな経験が‥‥」と心を開いて失敗談を明かしてくれる。そこで距離がギュッと縮まるんです。
三又流コミュニケーションの真骨頂でもある「さらけ出し」をこれからも広めたいと思っています。
三又又三(みまた・またぞう)株式会社TAP所属のお笑い芸人。「踊る! さんま御殿!!」(日テレ系)、「志村けんのバカ殿様」(フジ系)等数々のバラエティーに出演。2023年より不動産会社に勤務し、芸人との二刀流で活動。今夏より漫才協会に入会。
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