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記事全文を読む→三又又三の「社長、前借りいいですか?」〈会話にも準備が大切〉
元気ですか〜!(猪木風)。還暦ブレイクを本気で狙っている三又又三(58)です。
会社員経験ゼロだった僕が、なぜ56歳で不動産会社に入社して、これまで2年近く続けてこれたのか。やはり大きな武器になったのがコミュニケーション術。
入社したての頃、こんなことがありました。1人で店舗の留守番をしていると、賃貸物件を探しているという若いカップルが訪ねてきたんです。とりあえず2人にお茶を出して、外回りに出ている賃貸部の先輩社員(30歳年下)に連絡すると、
「あと1時間は戻れないから、三又さん、何とかつないでおいて」
1時間も場をつなぐって、お笑いの舞台でもなかなかないですよ。でも、そこからが腕の見せどころ。単独ライブに向けて用意していたネタを次から次へと披露して、気づけば2時間(笑)。爆笑、爆笑の連続で先輩社員へと引き継ぎ、契約へとつながったのです。
初対面の人と2時間話すなんて、ぜんぜん苦にならない。その気になれば3時間でも4時間でもしゃべり通せますよ。僕は常に準備していますから。
その心得を教えてくれたのが師匠のビートたけしさん。今から20年ほど前、たけしさんはタップダンスの稽古に通っていて、僕や若手がずっと付き添っていたのですが、ある若手がたけしさんにこう言ったんです。
「昨日もイチロー打ちましたね」
たけしさんは「おう、そうだな」と優しく返していたのですが、僕には厳しかったですね。
「松坂大輔投手、また勝ちましたね」
僕がこんなことを言おうものなら「は? なんだよ、それ」ですからね。
それである時、たけしさんが出ているバラエティの前室で、今田耕司さんにこう言われたんです。
「三又、たけしさんに聞いたぞ。お前、『今日は天気がいいですね』とか言うらしいな」
もちろん天気の話なんてしていないですよ。たけしさんのシャレで、いつの間にか、僕が野球以上に差し障りのない会話をしていることになってる(笑)。
その時に察したんです。僕だけがきちんと前振りがあって、オチがある話を求められているんだって。それからほぼ毎日、トークを用意しては、たけしさんの前でネタをおろして、また用意しての繰り返し。終わりのない宿題が延々と続くんです。当時は大変でしたが、かなり鍛えられました。数えきれないくらいバカ話をさせていただいた経験は大きな財産ですよ。
それからしばらく経って、たけしさんのトークライブに同行させていただいた時のこと。ライブの途中でたけしさんがコスプレ衣装に着替える間、「三又ダンス」で場をつなぐのが僕の役目。出番を待ちながら舞台の袖でたけしさんのトークを聞いていると、
「この間なんて、うちの三又がよ〜」
こう語り出して、僕の漫談をネタにしてくれた時はうれしくてうれしくて‥‥。舞台で「三又ダンス」を踊りながら、心の中で何度もガッツポーズしたんです。
そうそう、僕が事務所に入りたての頃は、先輩のダンカンさんが毎晩のように若手を集めて飲み会を開いてくれました。
「三又、最近はどうなんだ?」
ダンカンさんから話を振られて、「え? 何もないですよ」では済まされないから、常にネタを仕込む日々。水道橋博士のウォーキングに付き添う時も、とっておきのエピソードトークを用意していたものです。
不動産の仕事も準備が大切。お客さんを物件に案内する際、資料を作っておくのはもちろん、周辺の環境をきっちり頭に入れておく。そしてどんなお客さんが来ても、笑って帰ってもらえるよう、精進の日々です。
三又又三(みまた・またぞう)株式会社TAP所属のお笑い芸人。「踊る! さんま御殿!!」(日テレ系)、「志村けんのバカ殿様」(フジ系)等数々のバラエティーに出演。2023年より不動産会社に勤務し、芸人との二刀流で活動。今夏より漫才協会に入会。
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