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記事全文を読む→国民の9割以上が勘違いしている「姫始め」の由来と本当の意味って…もともとは「正月2日の行事」
仕事始めや御用始め、稽古始めに書初め、歌会始など、年明け最初に特定の行為をすることを指す「○○始め(初め)」という言葉は数多く存在する。その中で現代においてその意味が最も誤解され、かつ変容した言葉のが「姫始め」だろう。
多くの人はこの言葉から「年が明けて初めて行う男女の交わり」を連想するはずだ。しかし本来の由来を紐解くと、そこには現代の官能的なイメージとはかけ離れた、古き良き日本の風習や、言葉のアヤによる諸説が複雑に絡み合っているのだ。
そもそも姫始めとは、正月の2日に行われる行事を指す言葉だった。しかし、それが具体的に何を指すのかは、歴史学や民俗学の観点からも決定打がなく、いくつかの有力な説が並立している状態だ。
ちなみに有力とされる説のひとつが「火水始め(ひみずはじめ)」が転じたというもの。古来、元日は火や水を使うことを忌む風習があったため、二日に初めて火を焚き、水を汲んで煮炊きを始めることを祝った。この「火水」がいつしか「姫」へと変化したという説である。
「飛目始め(ひめはじめ)」説も興味深い。これは正月の遊びである「羽根突き」を指す。さらに高貴な女性が新年に初めて糸を紡ぐ「綛始め(かせはじめ)」や、初めてご飯を食べる「飯始め(いいはじめ)」が訛ったものとする説も存在する。
いずれにせよ、これらは生活の基盤を整える「事始め」の一種であり、決して艶事を指すものではなかったのだ。
では、なぜ現代のような意味で定着したのか。それは「姫」という言葉の持つ雅な響き、江戸時代以降の俗信、さらには「2日に初夢を見る」といった風習と結びつき、庶民の間で官能的な解釈が面白おかしく広まった結果だと考えられている。
言葉が本来の文脈を離れ、人々の欲望やユーモアと結びつくことで、新たな生命を宿した稀有な例と言えるだろう。
姫始めという言葉を、本来の意味で使う機会はほぼ失われた。しかし語源を特定できないという空白そのものが、この言葉に拭いがたいミステリアスな魅力を与えているのもしれない。
(滝川与一)
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